香りの舞い ~流れる水のように 燃える火のように 静かな大地のように 自由な風のように~

ジャワ舞踊やガムラン音楽に関すること、日々の気付きや学び、海外生活で見聞したこと、大好きな植物や動物に関してなどを、私が感じたことを気ままに、ゆるゆると書いていきます

踊りこむこと

今日は、東京で6時間みっちりジャワ舞踊(女性舞踊)の練習をしました。ゆったりとした動きなのですが、腰を落として踊るので、しっかり踊るとなかなかきつく、しかも長時間でしたし、前日の男性荒型舞踊練習と相まって、ものすごい筋肉痛です(笑)。

実は今年、東京で「ブドヨ」という種類のジャワ舞踊の公演を、7月と11月の2回予定しています。今日は主にそのための練習だったのですが、公演に出ない方々にもたくさん来ていただいて、にぎやかです。「ブドヨ」は、女性9人または7人で踊られるのですが、私たちは、中部ジャワのスラカルタにあるマンクヌガラン王宮に伝わる「ブドヨ・ブダマディウン」という7人で踊る演目を公演します。

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                   「マンクヌガラン王宮の大プンドポと池」photo by Kaori

 マンクヌガラン王宮は、18世紀から続くマンクヌゴロ王家の王宮で、今回公演で踊るメンバーは、みんなそこで踊りの研鑽を積んできました。ありがたいことに王様からも許可を頂き、日本で、日本人の踊り手だけで踊る運びとなりました。これは、私の夢のひとつであったので、頼りがいがあり、信頼できる仲間と共に、それが実現に向かっていてとても嬉しいです。(共にというより頼りっぱなしかも。)おまけに11月はジャワガムランの生演奏で踊れます!楽しみすぎる!

ブドヨやこの演目に関しては、別の機会にもう少し詳しく書くかもしれません。

ブドヨ・ブダマディウンは40分ぐらいの演目で、それを何度も繰り返して踊りこんでいるわけですけど、この踊りの練習を東京で練習し始めて1年半、最初は2ヶ月に1回、公演が決まってからは、1ヶ月に1回のペースでやっています。これだけ練習すると、本当に息があってきたなぁと実感があります。みんなバックグラウンドは違いますし、学んだ先生も違ったりして、動き方も、少しずつ違ったりするわけですけど、息があうと一体感があります。呼吸というのは大事だなぁと実感します。また、一緒に踊っている人たちが、お互いに思いやりがあるので、一体感が生まれるのだなぁとも感じています。本当に楽しいです。

ちょっと余談ですが、人前で踊っている時は、観客の方々も一緒に呼吸をしてくれているのですよね。その呼吸をとらえるのが一時期とても面白くて、アメリカのダンスカンパニーで踊っていた時は、舞台で公演中にいろいろ人知れず実験をしたりしていたこともあります。ジャワ舞踊でも演目によっては、今でもたまにやってみます(笑)。踊っている時の呼吸や気、動きのタイミングをほんのちょっとだけ変えることで、観客の反応がどう変わるかということなのですけれども。このことも、とても面白いので、別の機会に詳しく書きたいなと思います。(もったいぶるわけではないですが、長くなるし、説明に工夫が必要なので、考える時間が必要なのです…。それでもうまく説明できないかも…。)

ジャワ舞踊練習に話を戻します。何度も何度も繰り返し踊っていると、もはや振付を考えておらず、思考が停止して、聞こえる音楽や周りの踊り手に反応しながら、自然に動いている自分がいます。もちろん体の隅々まで意識がいっている自分もいるので、半分意識があり、半分無意識といった感じかもしれません。特にこの踊りは、ジャワにいる時からかなり踊りこんできているから考えずに踊れるというのもあるでしょう。あとは、何度も踊って疲れて思考が働かないというのもあるのかもしれません(笑)。ろくに休憩もせずに何時間も踊っているとへとへとです。みんなマニアックですね。たまにふっと振りが飛びそうになるのですが、7人で、位置を変えながら、ほぼ同じ振付をずっと踊るので、周りに助けられます。このような状態で踊ると、相変わらず身体はきついですけど、本当に気持ち良いです。また、少し視線を落として踊るので、座禅をしている時のような、いわゆる半眼の状態になり、座禅や瞑想の状態に近くなれるのかもしれません。ブドヨはそのような踊りです。もちろん、意識して、自分を客観的に見るようにして踊らないと、独りよがりになる危険も大きいので、その辺のバランスもとても重要だと思いますが、思考が停止している部分があると、踊りと一体になっている自分が感じられたりします。三昧というか。

以前は、多くの演目を学ぶことが楽しくて、鬼のように、マニアのように、これでもかと多くのジャワ舞踊の演目を学び、もちろんそのことから得ることは大きかったですが、最近は、ひとつの踊りを踊りこむことの重要性、楽しさを実感しています。

もっともっと多くの人にジャワ舞踊のすばらしさ、奥深さを知っていただけるよう、これからも仲間たちと共に精進していきたいです。