香りの舞い ~流れる水のように 燃える火のように 静かな大地のように 自由な風のように~

ジャワ舞踊やガムラン音楽に関すること、日々の気付きや学び、海外生活で見聞したこと、大好きな植物や動物に関してなどを、私が感じたことを気ままに、ゆるゆると書いていきます

アメリカで一番怖かった経験(2)~アメリカの思い出

昨日の銀行強盗の話の続きです。昨日のブログは以下を読んでください。↓ 

アメリカで一番怖かった経験(1)~アメリカの思い出 - 香りの舞い ~流れる水のように 燃える火のように 静かな大地のように 自由な風のように~

 

後でニュースで知ったのですが、警察は、銀行強盗の犯人が何人であるか、把握していませんでした。また、犯人の銃があまりに強力で、警察の銃では太刀打ちできないということで、警察は銃器店に銃を借りに行ったそうです。また、銃を両手で持ち、震えながら祈っているような警官の姿も、映像に映っていました。警官にとってもとても怖かったのでしょう。

テレビでは、銀行からでて住宅街の道を、銃を撃ちながら、私のいる家の方へやってくる犯人は二人。道はまだ規制線が張られておらず、人も車も普通に通っていました。銃を放って、運転手を追い出し、車を奪った犯人でしたが、間もなく、警官が到着し、最終的には、犯人たちはその場で射殺されました。その模様が、ヘリコプターから撮影した映像ですべて生放送でテレビで流されていたのです。なんというか…。言葉を失います。射殺する必要まであったのかと、今でも思います。

警察は、なぜか犯人は3人だと考えており、もう一人がどこかの住宅に逃げ込んだに違いないと考えていました。私とA君は、家のバスルームに潜んでいて、E君からの電話によるテレビの実況で状況を把握していました。すると、E君が「あ、今、家が映ってる。前庭の芝生のところに戦車が停まってる。それから、警察官が、トラックの陰から、何人も家の方に向けて、銃を構えているよ」というのです。前庭の前の道端に停めていたA君が乗ってきたトラックの反対側に隠れて、そこから警察が何人も並んで、こちらに銃口を向けているではありませんか。これは、やばいと思いました。警察官も恐怖に陥っていますから、下手したら撃たれるかもしれません。戦車まで出動しているぐらいですから。でも、私は「私は女だから、たぶん犯人だとは思われず、撃たれないから、ちょっと、窓のカーテンを開けて、そこから彼らに手を振ってみる」とA君に言い、この事件が始まってから閉めていた、前庭に向いた窓のカーテンを少しだけ開けて、警察官に向かって手を振ってみました。

すると、男性警官の一人が、ドアのところまで来てくれ、「避難しますか」と聞いてきたので、「避難します」と答えました。(他に選択肢があるのか?避難するかと聞く方もおかしいだろうと、その時思ったことを覚えています。)すると、警官がすぐに誘導してくれ、規制線の外に出ることができました。そこには、報道陣が大勢いて、いろいろ聞かれましたが、あまり覚えていません…。どうだったか、怖かったかといったようなことを聞かれたような気もします。

規制線の外に出て、本当にほっとしました。でも、その夜は、その一帯の封鎖は解かれず、警察が一軒一軒の家を犯人が潜んでいないかしらべたそうで、家には朝まで戻れませんでした。そんなわけで、私たちは、その家に楽器を置いてあったので、コンサートは中止せざるを得ませんでしたが、仕方がないですね。あ、ちなみに、楽器は、大理石、御影石、石英など様々な石の板から自分たちで作ったガムランに似た楽器のセットです。石の板は、ロサンゼルス大地震の後に、割れてしまって売り物にならなくなってしまったものを、安く買っておいたものです。石ですが本当に素晴らしく良い音がしたものです。オリジナル楽器なので、どこからか楽器を借りるというわけにもいかなかったのです。

後で聞いて知ったのですが、私がいた家の2軒先の角の家の人は、ガラクタを集めるのが趣味で、家の裏にたくさんの大きなガラクタが山積みになっていたそうです。警察は、そこに犯人が潜んでいるに違いないと考え、なんと、そこに戦車で突っ込んでいったのだそうです。やることがすごすぎるというか、なんというか。ちなみに、その家のオーナーは心臓の持病で入院中で、生放送で、自分の家に戦車が突っ込んでいくのを見たのだそうです。よっぽど心臓に悪かったでしょうね。でも気丈にもニュースの取材に「こういうことであれば、何でも協力するし、戦車が突っ込んだことも非難しない」といったことを話したそうです。アメリカ人らしいなぁという感じがします。

ちなみに、これは確か20年ぐらい前だったと思いますが、ロサンゼルスで銀行強盗はATMでの強盗も含めて年間2,000件あったのだそうです。平均して毎日5‐6件あるということですよね。ほとんどの銀行の窓口が防弾ガラスに覆われているのも、よく理解できます。

私は、アメリカでは結構気を付けていたので、おかげさまで、他にはあまり怖い思いをすることもありませんでした。この銀行強盗が一番怖かった思い出です。その頃は、ロサンゼルスよりもニューヨークの方が危険と考えられていましたが、ニューヨークは危険な地域が決まっており、そこに行かなければ、基本的なことに気をつけさえすれば、大丈夫という面もありました。でも、ロサンゼルスは決まった地域ではなく、どこでも凶悪犯罪がおこる可能性があったという意味では、より危なかったのかなとも思います。まあ、完全に私見ではありますけれども、ニューヨークにもしばらく住んでいたことがあるので、そう思いました。

日本は本当に安全でよいところだなぁとつくづく思います。ここにいられるだけでラッキー。感謝。

 

読んでくださってありがとうございました。

あなたにとって良い一日となりますように。

 

<今日の植物(庭の植物シリーズ)> 

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「香りのよいイキシアの花。癒されます」photo by Kaori