香りの舞い ~流れる水のように 燃える火のように 静かな大地のように 自由な風のように~

ジャワ舞踊やガムラン音楽に関すること、日々の気付きや学び、海外生活で見聞したこと、大好きな植物や動物に関してなどを、私が感じたことを気ままに、ゆるゆると書いていきます

ジャワ暦の大晦日と新年、マンクヌガラン王宮での儀式 ~ ジャワの思い出

昨日は、瞑想に関して書きましたが、今日は、その中で少し書いたジャワの王宮での大晦日の儀式と新年の瞑想の記憶です。最後に参加したのは2015年10月13日から14日にかけて。2015年10月14日はジャワ暦の新年でした。余談ですが、新年は西暦だと毎年11日ほどずれていきます。ジャワ暦の1月はSura(スロ)と呼ばれます。大晦日のことは、インドネシア語でmalam satu sura。malamは夜、satuは1、suraは月の名です。malamが日付けまたは曜日の前に来ると、その前の晩のことを指します。

その時のことを記録したノートがあったので、それを基に書いてみます。

2015年10月13日はジャワ暦の大晦日で、私はソロにあるマンクヌガラン王宮での毎年恒例の大晦日行事Kirab malam 1 suraに参加していました。ジャワの正装(上着は黒)をし、王家の宝物(霊的な力があるとされている)を先頭に、王宮の周りをゆっくりと、静粛に(一言もしゃべらずに)一周するというもの。その年は、いくつかあるそれぞれの宝物の周りでお香をたきながら行進することになり、人員が足りないということで、宝物の横で歩き、お香をつぎ足すというお手伝いをさせていただきました。以前何度か参加させていただいたときは、後ろの方で歩いたのですが、この時は初めて宝物のすぐ近くを歩き、以前とは違ってなかなか面白い経験でした。偶然か、何かの手違いか、それとも何かに導かれたのか、本当は4番目の宝物とともに歩くことになっていたのが、先頭の宝物とともに歩くことになりました。とても光栄でしたが、なぜか私たちのことを敵視している人たちに、すごい目で睨まれたのを覚えています。どこの世界も人間関係は面倒くさい…。

夜の7時ごろ、プンドポの下段、南側で整列して待っていると、宝物が運ばれて出てきて、そのあとから出てきた王様のあいさつの後、いよいよ出発です。先頭の宝物は長い槍のようなものが黄色の袋に包まれ、2人の男性によって運ばれていました。その両側に、お香をたく炉を入れた松明のようなものを持った男性4人、お香をつぎ足す女性が4人、そのさらに外側に槍を持った男性の列、その外側にボーイスカウトガールスカウトらしき若者たちが歩き、観客が列の中に入らないようにしていました。

宝物の前には先導の王族の男性、宝物の後ろには王女さまを含む王族の方々何人かが歩いていました。基本的に裸足で歩くのですが、今年は履物を履いて歩く人も多く見かけました。でも王女様は裸足でした。私も裸足で歩いたのですが、アスファルトの道路とはいえ、小石なども落ちているので、結構足が痛かったです。王宮の塀の周りの道を一周するので、さっさと歩けば15分ぐらいの距離だと思うのですが、ゆっくり歩くので、1時間強かかりました。通り道は、観客で埋め尽くされていて、まだまだ興味のある人が多いのだと感じました。ご利益があると信じられているからかもしれません。(ちなみに、行列が通った後、王宮の周りを7周するとご利益があるとかで、歩いている人たちもよく見かけます。私もトライしたことがあります。) 

お香をつぎ足すのは、初めのうちは良かったのですが、全然お香が足りず、後半はほとんどお香の煙が出ていなかったかも。その辺は、あまり考えて準備されていないです。やはりジャワはゆるい感じですね。実は、私も香炉を手に持って歩くという予定だったのですが、香炉も足りず、結局、お香をつぎ足す係になったという経緯があるので、その辺もいつものことながらゆるいなぁと感じました。それが良いところでもあるのですけれども。

その後、王宮のプンドポで出てきたご飯を食べながら待っていると、王族の方たちが、何かの入った小袋を撒きます。それは奪い合いになるので、今回は遠くから見ているのみで、何を投げていたのか確認しませんでしたが、以前は、花びらや香草が入っていたものだったとの記憶があります。お金が入っていることもあるそう。

この日は、普段は王宮に入ってこない人たちも多く入ってきます。何かを恵んでくれと言われたりしてちょっとびっくりしました。また、私が首からかけていたジャスミンの花輪をくれといわれたり。人と話しているときに急に言われたので、思わず断ってしまいましたが、差し上げればよかったかな…。きっと、ご利益があると思ったのでしょうね…。

夜中12時から1時まで瞑想があるということで、これにも参加しました。知り合いの王族の方々が誘ってくださったので、王族の方々と中(普段はいろんな宝物が展示されている部屋)で瞑想をさせていただきました。でもジャワの正装での瞑想は、床に座っているのも楽ではないので結構きつい…。12時始まりですが、11時半にはみんな場所について準備をします。マイクを使っての瞑想の始まりを伝える長いジャワ語の放送の後、東側の部屋から重要な宝物がひとつひとつ(棒状のようなものや太鼓のようなものがありました。すべて布で包まれているのではっきりしませんが…。)部屋の中央に運び出されて、火の明かりが付けられ、電気が消されていよいよ瞑想の始まりです。お香も焚かれていました。疲れていたこともあって、半分ぐらい意識が飛んでいた(寝ていた?)のですが、起きているのと寝ている意識の間で行ったり来たりしている感じでした。火の明かりもついたり消えたりしている感じだったので、火が付くとハッと起きたり。半分寝ている感じだったので定かではありませんが、上の方に緑の光の玉がいくつか見えたり、周りにたくさんの人がいるような感じがしたりしていました。(ちなみに、私は、剣などの展示がしてある二つのガラスの棚の間に座っていたので、周りにそんなに人は多くありませんでした。)1時間は結構あっという間でした。蚊も多くて、途中でかゆくて気が付いたり、なんだか、雑念ばかりで終わってしまったような気がした瞑想でしたが、終わってみるとすっきりしたような感じで不思議でした。瞑想の後、宝物をひとつひとつ東側の部屋に持ち出します。最後に残った長い棒状のものは、先端が少し平たくなっているのですが、その宝物を運ぶ人が、その部分を座っている人たちの上に掲げ、掲げられた方向に座っている人たちは、みんな手を合わせていました。

終わってみると、日本の文化にも共通する部分の多い行事だったと感じました。参加させていただけて、感謝あるのみでした。

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「マンクヌガラン王宮にて。Malam satu Suraの衣装 2015年10月13日」

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「マンクヌガラン王宮にて、友人たちと。malam satu sura」

ちなみに、松明につぎ足していたお香はこんな感じでした。

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「Malam satu Suraの儀式で使ったお香 2015年10月13日」

儀式の時は写真が撮りづらく、ほとんど写真がないのです。でも、あまり良い写真ではないですが、2010年のものが少しありましたので、貼り付けておきます。

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「マンクヌガラン王宮にて、malam satu sura 2010年12月6日」photo by Kaori

 

読んでくださってありがとうございました。

あなたにとって素敵な一日となりますように。

 

<今日の植物(庭の植物シリーズ)>

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「満開のレウィシアの花」photo by Kaori