香りの舞い ~流れる水のように 燃える火のように 静かな大地のように 自由な風のように~

ジャワ舞踊やガムラン音楽に関すること、日々の気付きや学び、海外生活で見聞したこと、大好きな植物や動物に関してなどを、私が感じたことを気ままに、ゆるゆると書いていきます

ジャワ舞踊奉納公演のお知らせ(靖国神社にて)

いつも読んでくださってありがとうございます。

みなさまの地域では、大雨は大丈夫でしたか?大きな被害が出たニュースに心が痛みます。被害に遭われた方にお見舞い申し上げるとともに、犠牲になった方々のご冥福をお祈りいたします。

私の住んでいる地域では、雨はけっこう降りましたが、豪雨ではなく、幸い被害はありませんでした。でも、当たり前と思っている日常が、本当にありがたいものなのだなと感じます。

 

今日は、ひとつ宣伝をさせてください。

7月16日(月・祝)、東京の靖国神社のみたままつりにて、ジャワ舞踊を奉納させていただきます。靖国神社境内の能舞台にて、16時から17時の間です。

 

以下、友人がアップしてくれたFacebookでのお知らせです。

https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=10216913795344897&id=1465744424

 

みたままつりに関しては、以下からご覧ください。

新着情報詳細|靖國神社

また、奉納芸能スケジュールに関しては、以下からご覧ください。

http://www.yasukuni.or.jp/img/mitamageinou2018.pdf

 

今回は、ブドヨ・ブダマディウンと、ガンビョン・パンクルの2曲が奉納されます。

私が踊るのは、ブドヨ・ブダマディウン。私にとっては、とても、大切な舞踊です。いつか、日本で、日本人の踊り手で上演したいとずっと思っていたので、素敵な仲間たちと、それが実現するのがとても感慨深いです。今回は、録音した音楽で上演いたしますが、11月18日(日)には、東京の北区の北とぴあで、生演奏のガムランで上演いたします。また、そのうちにお知らせさせていただきますね。

 

さて、ブドヨというのは、ジャワ舞踊の中でも、儀礼的要素が強く、とても重要な、重い意味合いの踊りです。女性9人、または7人で踊られます。私たちが踊る、ブドヨ・ブダマディウンは、スラカルタのマンクヌガラン王家もの。マンクヌガラン王家は分家のため、ブドヨの人数も7人となります。

ブドヨを持っている事は、ジャワの王にとっては、(霊的)パワーの源、王としての印でもあります。そして、国(世界)を平安に導くものでした。ブドヨは踊りを指すとともに、踊り手もブドヨと呼ばれていました。現在ではそのような意味合いは薄れていますが、まだ、非常に霊的なパワーのある、門外不出のブドヨはジャワに残っています。そして、そのブドヨにまつわる神話も多く残っています。

今回の、ブドヨ・ブダマディウンは、そこまで重い舞踊ではありませんが、王家にとっては重要な意味を持ち、神聖さのある舞踊のため、今回は、マンクヌガラン現当主(現王)のマンクヌゴロ9世に、特別に許可をいただきました。許可をいただけて、本当にありがたく、感謝の気持ちでいっぱいです。また、そのために尽力してくださった方々にも、感謝しかありません。ですので、軽々しく踊れる踊りではないという自覚のもと、上演したいと思います。

 

ブドヨは、踊り手が同じ衣装を着て、ほぼ同じ動きをしますが、いくつかの形に、踊り手の位置(フォーメーション)が変わっていきます。踊り手が地面に描くパターンに様々な意味があるとも言われています。また、踊り手一人一人が、人の体の一部を象徴しているとも言われます。7人の場合だと、欲望、頭、首、胸、お尻(背骨の一番下)、両手でしょうか。9人の場合は、それに両足が加わります。また、9人は人間の体の9つの穴を象徴すると言われることもあります。

ブドヨ全般に関しては、また機会があれば、もう少し詳しくご紹介するかもしれません。

 

実は、それぞれのブドヨにはストーリーがあるのですが、みんな同じ衣装で、ほぼ同じ動きで表されるため、非常に抽象的表現であると言えます。ただし、全編通して歌われる歌にはストーリーが含まれています。ブドヨでは歌/詩が非常に重要です。動きでは、ブドヨ・ブダマディウンの場合、後半に2人が立って踊り、他の5人が座って踊っている場面があるのですが、そこに、ストーリーが現れています。イスラム・マタラムの王、パヌンバハン・スノパティPanembahan Senopati が、マディウンを攻めた時の、マディウン領主の娘、ルトノ・ドゥミラ Retno Dumilahとの戦い、そして恋に落ちるというストーリーが背景にあります。ドラマチックですね。でも、ジャワ舞踊、特にブドヨのような踊りでは、顔の表情はナチュラルのままで、表情での表現は全くありません。そして、優雅に踊りは流れていきます。作られたものではなく、踊り手の内面、奥深くから自然に流れ出るものが重要かなと思います。うまく説明できませんが…。深い精神性が要求される踊りです。自己がない踊りかもしれません。

 

この踊りの練習に関しては、以下の記事からお読みいただけます。

ジャワ舞踊練習で感じたこと - 香りの舞い ~流れる水のように 燃える火のように 静かな大地のように 自由な風のように~

 

 衣装に関しても、数週間前に書いていました。

ジャワ舞踊の衣装(1) - 香りの舞い ~流れる水のように 燃える火のように 静かな大地のように 自由な風のように~

 

 以前、私は、マンクヌガラン王宮でもブドヨ・ブダマディウンを踊らせていただいたことがあります。外国人の私を重要なイベントで使ってくださったマンクヌガラン王宮の関係者に、とても感謝しています。その経験があってこそ、日本でこの踊りを伝えたい、日本でこの踊りを皆さんに見ていただきたいという夢も持てたわけで、それが実現する今につながっているのですよね。縁というのは不思議ですね。この公演がマンクヌガランへの恩返しのひとつにつながっていけば良いなぁと思っています。

 

マンクヌガラン王宮での様子を、少し、写真でご紹介しますね。

まず、王宮での練習風景です。私の知り合いが撮ってくださった写真です。

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「マンクヌガラン王宮の大プンドポにて、ブドヨの前日リハーサル」

そして、公演の様子

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「マンクヌガラン王宮の大プンドポにて、ブドヨ公演」

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「マンクヌガラン王宮の大プンドポにて、ブドヨ公演」

 

 

靖国神社での奉納公演、とても楽しみです。今回は、デワンダル・ダンスカンパニーのご厚意で、ブドヨがこの舞台に乗せていただけることになりました。ブドヨ公演をきっかけに結成されたグループ、「ラングン・ブクソ・さくら」としては、初公演です。

もうひとつの踊り、デワンダル・ダンスカンパニーのメンバーによって踊られるガンビョン・パンクルは、もともと農村発祥で豊穣を祈りつつ踊られていたものが、洗練されたもの。最近では、お客様を歓迎する時や、結婚式で踊られることが多いです。ブドヨとはガラッと違う趣向です。

お近くの方、もしお時間がありましたら、ぜひいらしてください。お待ちしております。

 

読んでくださってありがとうございます。

あなたにとって素晴らしい一日となりますように。

 

<今日の植物(庭の植物シリーズ)>

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「黄色のカンナの花。華やか」photo by Kaori