香りの舞い ~流れる水のように 燃える火のように 静かな大地のように 自由な風のように~

ジャワ舞踊やガムラン音楽に関すること、日々の気付きや学び、海外生活で見聞したこと、大好きな植物や動物に関してなどを、私が感じたことを気ままに、ゆるゆると書いていきます

5月19日 岸城神社で奉納公演~踊りながら歌うこと~ジャワ舞踊とガムランの関係など

このブログにご訪問頂きありがとうございます。

また、ちょっとご無沙汰の更新になってしまいました。

 

2019年5月19日
岸和田の岸城神社のむすび市にて、奉納公演にジャワ舞踊で出演させていただきました。

岸城神社では、私の友人たちが毎年奉納公演を続けてきた場所です。私も何度か出演させていただいたことがあります。

今回も、お誘いいただき、感謝です。心配されたお天気も、晴になり、屋外での公演で、とても気持ちが良かったです。
お誘いいただいたのは、急なことでしたが、急で、特に練習しなくても、ガムランの生演奏で踊れる曲があること、演奏できる仲間があることは、本当にありがたいことです。これまでの、みんなの積み重ねの賜物ですね。

今回、舞踊4曲に加え、Wayang Kulitと、盛りだくさんの内容。

私が踊らせていただいたのは、ガンビョンというジャンルの踊りのうちのひとつ。ガンビョンは、ジャワ島の古都スラカルタを代表する舞踊ジャンルのひとつで、もともと農村の豊穣、子孫繁栄祈願の踊りから発展し、民間の芸人によって歌いながら踊られていました。そこから形が整えられて、現在に至っています。現在は、決められた形で踊ることが多いですが、もともとは即興性の高い舞踊で、太鼓奏者と踊り手の掛け合いで、舞踊が形作られていました。

ガンビョンの中でもポピュラーなものは、ジャワでも結婚式などで良く踊られますが、ジャワでも、多少の経験のある演奏家や踊り手はみんな知っているので、複数の踊り手で、複雑な踊りの隊形を使わない限り、特に事前練習はしないことも多いです。


今回は、私は、スラカルタのマンクヌガラン王宮様式の、Gambyong Langen Kusumaを、一人で踊らせていただきました。スラカルタ様式では、Gambyong Pangkurと呼ばれるものです。とてもポピュラーなガンビョンのうちのひとつです。マンクヌガラン王宮では、現在では正式にはGambyong Langen Kusumaと呼ばれますが、普段はGambyong Pangkurとも呼ばれます。ちなみに、Pangkurは使われている曲の名前です。

スラカルタ様式とマンクヌガラン様式のGambyong Pangkurは、ほぼ同じですが、少しずつ違うのですよね。演奏する方も、太鼓以外はほぼ同じです。厳密に言えば、踊りや演奏のラサ(フィーリングとでも訳しましょうか)も違いますが、まあ、その辺りは長い時間がかかることなので…。

現在のガンビョンでは、踊り手が歌いながら踊ることは稀ですが、マンクヌガラン様式でこの曲を踊る時は、踊り手が歌いながら踊るという伝統もあり、私も、今回、シンデン(女性歌手)のパートを歌いながら踊らせていただきました。

マンクヌガラン王宮でも、現在ではこの曲を歌いながら踊る人はとても少なく、もっとみんな歌いながら踊ることにチャレンジして、この伝統を残していってほしいなぁという意味も込めて、いつもチャレンジしています。

 

マンクヌガラン王宮での、夜の練習(パカルティ)で、この曲をよく歌いながら踊る練習をさせてもらっているので、今回も、その練習を生かせました!

録音されたものには、すでにシンデンのパートが入っているので、歌いながら踊るというのは、生演奏でのみ出来るこの曲の醍醐味ですね。 

これまで、ジャワや日本での公演でも何度か歌いながら踊らせていただいていて、かなり慣れてきましたが、やはり、まだまだ反省点もたくさん…。もう少し、かわいい感じで歌いたいですね…。 
歌のシンデンのパートは、曲のリズムとは合っていないので、曲のリズムに合わせて踊る踊りと一緒に歌うのは、なかなか難しいです。

私の場合、歌と踊りと意識を分けて踊っています。どちらにも集中しない感じです。

でも、その方がリラックスして、自然に踊れているようで良いという意見も…。余分な力が抜けているということでしょうかね。

私の場合、歌よりも踊りの方が得意で、踊りは自然に体が太鼓の音に反応していき、何も考えずに踊れるので、歌の方にもう少し多く意識を持っていっているのですが、それでも、思うように歌うのはなかなか難しいです。もう少し、歌も何も考えなくても自然に歌えるようになったほうがよいなぁと、今回思いました。

ジャワ留学中の3年弱(2003年~2006年)はシンデンの勉強もしていましたが、その後は、私の先生だった方がお亡くなりになったりして、勉強していないので、また機会があれば、シンデンの勉強もしたいなぁと、改めて思いました。ジャワ舞踊も、ジャワ音楽も一生勉強ですかね。楽しいです。

 

ちなみに、私のシンデンの先生だった方は、スラカルタで販売されているジャワ舞踊曲のカセットの多くで歌っていらっしゃるので、舞踊曲の録音を聴きながら、いつも懐かしく思い出しています。踊りや踊り手のことを理解して歌える方で、踊り手からは絶大な信頼と人気のあった方です。彼女が歌ってくれると、踊りやすいというのです。私も、彼女が踊りの曲の時に、どんなところに気を配って歌っているのか聞いていて、なるほどと思うことが多々ありました。それは曲によっても変わり、踊り手をサポートするような歌い方なのです。やはり、踊りをよく知っていることは、踊りの曲を演奏する演奏家や歌い手にとって、とても重要だと思い知らされます。

やはり、細かいところまで、踊り手の動き方や呼吸、踊りのラサ(フィーリング)などを意識して演奏したり、歌ってくださると、踊り手もとても踊りやすく、力が発揮できるものです。そこにちゃんとした交流、相乗効果が生まれますから。でもそんな演奏家は、今はジャワでも残念ながらとても少ないですね。

また、踊り手もガムラン(音楽)をちゃんと理解できている人が、少なくなっていると思います。踊りはうまくても、音楽の流れと合ってなくて、見ていて気持ちよくないこともあります。

以前、ジャワでは、演奏者も踊れて当たり前、踊り手も演奏できて当たり前だったのですが、今では、すっかり分業になってしまって…。西洋化の弊害でしょうかね…。

以前は、舞踊と音楽との境目がなかったのではないかと思います。

 

そして、現在では、生演奏で踊りの練習ができる機会が少ないことも大きな問題だと思います。そんな中で、マンクヌガラン王宮での練習は、演奏と踊りの練習が一緒にできる、数少ない貴重な機会となっています。

 

なんだか、話が逸れましたね。

 

とにかく、何年かぶりで、岸城神社で舞踊を奉納させていただけて、幸せでした。

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「岸城神社にて、奉納公演後の記念撮影」

 

 


神社好きの私は、ちゃっかり御朱印もいただきました!宮司さんが自ら書いてくださいました。よく見ると、だんじり岸和田城も入ってる!

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「岸城神社の御朱印」photo by Kaori

 

 

 

今回はこのくらいで。

 

読んでくださってありがとうございました。

あなたにとって素敵な一日となりますように。