香りの舞い ~流れる水のように 燃える火のように 静かな大地のように 自由な風のように~

ジャワ舞踊やガムラン音楽に関すること、日々の気付きや学び、海外生活で見聞したこと、大好きな植物や動物に関してなどを、私が感じたことを気ままに、ゆるゆると書いていきます

すぎやまたくや/岡戸香里コラボライブを終えて

去る2023年6月28日(水)19時~21時、北青山のギャラリーにて、アーティストのすぎやまたくやさん(タクちゃん)と舞踊家岡戸香里(私)とのコラボライブを行いました。

ギャラリーということでスペースが限られ、30人前後の方に見ていただきましたが、これが、おかげさまで、かなり評判がよく、身体が軽くなってしまった人が続出したり、感動してくれた方々も多かったので、ちょっと、記録に残そうかなぁと思い、このブログを久しぶりに書いています。

 

今回のコラボは、わたしともタクちゃんともお友達で、ヨガの先生のなおみちゃんが、「自分が見たいから」と企画してくれたもの

タクちゃんは、35歳の天才的な、神がかり的なアーティストです。彼の絵のエネルギーといったらすごい!私もものすごく好きな絵がたくさんあります。

絵を描くことにとどまらず、宝石や服のデザイン、楽器演奏、ヒーリング、俳優など多彩な方。透明感あふれる、輝いている方です。

最近、私は、ある場所や人(たとえ行ったことのない場所や会ったことのない人でも)を思うと、その場所や人のエネルギーがパーッと丹田あたりで感じられる(気がする)のですが、タクちゃんをイメージすると、透明でキラキラした光に満たされるような気がします。

 

今回、コラボをすることを決めたのが6月10日。タクちゃんが使っている北青山のギャラリーをいつまで使えるかわからないということで、6月中の日程が合う日で28日に決めました。

コラボをするにあたって決めたのは、流れだけ。

まず、私がジャワ伝統舞踊を一曲踊り(直美ちゃんのリクエストで仮面舞踊、ジャワ舞踊スラカルタ様式男性優型舞踊トペン・グヌンサリ(ボンデット)を選びました)、その後、即興コラボへ向けてのつなぎ(私の着替え)で、10分ぐらい、タクちゃんが、ケルパータンブラを演奏しながらホーミー(overtone singing、倍音唱法)を行い、私が着替え終わって出てきたら、楽器をギターに替え、演奏し、その演奏をループ録音して流しながら、ライブペインティングをする。その間私は踊り続ける。決めたのはそれだけ。後は出たとこ任せ。

私は今は主にジャワ舞踊を踊っているが、元々モダンダンサーで、16歳の時からプロのダンスカンパニーで踊り、アメリカに渡って大学でダンスを中心とする舞台芸術を学び、振付師、ダンサー、舞踊教師などをしていた。その頃、もちろんよく即興もやっていたし、ジャワでも日本でも、たまに即興で踊ることはあった。

ただ、まだ出会って間もない、それほど知らないタクちゃんとの即興で、何が起こるんだろうと、ワクワクしていた。

 

やってみて、流れがあまりにスムーズで驚く。

最初の伝統舞踊。出てきただけで、観客がワーッと湧きたつのが分かる。今回は、舞踊関係者は5人(そのうち4人はバリ舞踊の方)のみ。他の観客は、私も参加している禅サンガなど、オンラインで知り合った方々も多く来てくれていたけれども、ほとんどの人がわたしの踊りを見るのは初めてだったと思う。

ジャワ舞踊は、インドネシアジャワ島中部の古都、スラカルタジョグジャカルタの王宮を中心に発展してきた舞踊で、儀式的な舞踊から、インド発祥のマハーバーラタ、ラーマヤナ、ジャワ島発祥のパンジー物語などを題材とした舞踊、農村発祥の舞踊が発展してきた五穀豊穣を祈って踊られる踊りなど、ここには詳しくは書きませんが、他にもさまざまな種類の舞踊があります。

スラカルタ様式の仮面舞踊では、初めは仮面をつけずに出て、途中で仮面をつけ、最後に仮面を外すのが一般的。私が踊ったトペン・グヌンサリは男性優型(アルス)の舞踊で15分ぐらいの演目。12世紀東ジャワのパンジー物語から題材が取られている。トペンとは仮面のことで、グヌンサリとは人物名。「パンジー物語」に登場するドホ(Daha)王国のグヌンサリ王子が、ジュンゴロ(Jenggala)王国の美しいラギルクニン姫に恋焦がれる様子が描かれている。ほかのアルス(男性優型)舞踊に比べて、動きが大きく、力強いのが特徴で、グヌンサリ王子の若々しさや、そのキャラクターが表現されている。恋する男性の姿を描く、「ガンドロン」というジャンルの舞踊の一つである。もともとはスラカルタとジョグジャジャカルタの間にあるクラテン村で発祥した仮面舞踊劇ワヤン・トペンの登場人物の舞踊が独立したもので、そこからインスピレーションを得た、スラカルタの高名な舞踊家/振付師である故スナルノ氏によって創作された作品を踊った。スナルノ氏は、私がアメリカ在住のころから縁のある方で、そのこともあってか、私はこの作品を踊るのがとても好きである。

トペン(仮面)は、木製で、私の顔のサイズに合わせて作ってもらっており、美しく彩色されている。ひもなどで結わえるのではなく、口でくわえてつけるようになっている。クラテン村の仮面舞踊劇では、動いているときは仮面を口にくわえてつけているのだが、セリフを言う時は、仮面を手で取って、顔の前に少し浮かしながら、言う。スラカルタの仮面舞踊で口でくわえる仮面を使うのが一般的なのは、その名残ではないかと思う。ちなみにクラテン村での仮面舞踊劇は朝から夕方までとか、夜じゅう8時間ぐらい演じられるものなので、その方が演じやすいのではないかなと推測している。

仮面は、目の下に細く穴が開いているのと、鼻の穴が開いているだけで、つけていると視界のほとんどがさえぎられていて、非常にバランスがとりにくい。そこに仮面舞踊の難しさと面白さがある。また、普通のジャワ舞踊を踊る時と同じように踊っても、仮面が生きず、そこに動き方の工夫が必要になる。

それでも、踊っているときは、ただ踊りと音(音楽)と場がある。私が踊っているのではないのである。そのことを最近ますます強く感じる。(といっても、感じる私がいないのだけれども…。言葉で表現するのは難しい。)私が踊っているわけではないけれども、最近、以前よりももっと自由に丹田から動けるようで、とても気持ち良く踊れる感じがする。動きはすべて丹田から発生すると、モダンダンスでもジャワ舞踊でもいろんな先生に教わったけれども、最近になって、やっとわかってきたような気がする。

ジャワ舞踊スラカルタ様式男性優型舞踊トペン・グヌンサリby岡戸香里 2023年6月28日

ジャワ舞踊スラカルタ様式男性優型舞踊トペン・グヌンサリby岡戸香里 2023年6月28日

ジャワ舞踊スラカルタ様式男性優型舞踊トペン・グヌンサリby岡戸香里 2023年6月28日

ジャワ舞踊スラカルタ様式男性優型舞踊トペン・グヌンサリby岡戸香里 2023年6月28日

 

さて、コラボに話を戻す。

ジャワ舞踊を踊り終わると、控室に戻り、早替え。

ジャワ舞踊の男性舞踊を女性が踊る場合、着るのにはものすごく時間がかかる。私は、余裕をもって、着るだけに1時間は取っておく。そして化粧に1時間をとっておくので、大体準備に2時間かかる。でも、脱ぐのは早く、10分ぐらいの早替えで出られた。

 

着替え終わって、パフォーマンススペースに戻ると、タクちゃんが、お客さんのすぐ前で、ケルパータンブラを演奏しながら、ホーミーを歌っている。体が大きくて、声も良く、響く声だと思っていたけれども、その時のエネルギーは半端なかった。

ケルパータンブラは、ドイツ発祥で、音楽療法を目的として開発された楽器。たくさんの弦を両手でなぞるようにはじいて演奏する楽器。名前からも分かるように、効果としてはインドのタンブーラに似ている。開放弦を同じように繰り返しはじくだけ。でもなんとも落ち着く音のじゅうたんになる。ホーミーは歌い手が一人で二種類の声(普通の声と高い声)を同時に出す、モンゴル民謡などで使われる倍音唱法。(実は私もアメリカでの大学時代、ホーミーをみんなで歌おうというグループに入っていて、車を運転する時も、よくホーミーを歌っていたという縁があり、ホーミーは大好き。)

タクちゃんによるケルパータンブラとホーミーは、音の重なりや響き、エネルギーで本当に場がどんどん清められていく感じ。金色のエネルギーのように感じた。タクちゃんも、顔をあげて目をつぶり、瞑想的な感じで、演奏し歌う。

私は、後ろの方から、白いドレスとパンツに、白地に青のメガムンドゥン柄(ジャワ島チルボンのバティック伝統柄でスピリチュアルな雲のモチーフが描かれ、仮面舞踊の衣装にも使われる)の布をかけ、黒、赤、白色で染められた一枚のサンプール(ジャワ舞踊に使われる細長い布)を首からかけ、トペン(仮面)を三つ(スカルタジ、パンジー、クロノ)、サンプール3枚(白、青緑、赤)を持ち、登場した。

すぎやまたくや/岡戸香里コラボライブにて 2023年6月28日

すぎやまたくや/岡戸香里コラボライブにて 2023年6月28日

すぎやまたくや/岡戸香里コラボライブにて 2023年6月28日

しばらく動き、観客の前に、トペンをサンプールの上に、一つ一つおいていく。

タクちゃんは、後ろに下がり、アンプで音を調節したギターを演奏する。

そこからは、何も考えず、感じるままに動くだけ。

いろんなものが駆け抜けていく

たおやかさ、強さ、鋭さ、柔らかさ、呼吸…、水、風、土、炎…。

タクちゃんは、ずっと下を向いてギターを演奏しており、視線による交流は全くない。でもそこに、確実に、エネルギーの交流があった。交じり合うというより、目に見えないけど、響き合って、お互いに変化していくような感じ。これまで経験したのとはちょっと違う感覚の即興だった。本当に何も障害のない、何も間にない感じ。そして、何とも気持ちの良い音が流れてくる。自然と体が動く。本当にこの時の繰り返しのメロディが素晴らしく、今でもそれが耳に残っていて、それだけでも癒される。

前にも書いたけど、タクちゃんとは、このコラボ前に、数回お会いしたけれども、実はあまりよく知らない。あまりよく知らない人と即興するのって、とても面白いと感じた。

すぎやまたくや/岡戸香里コラボライブにて 2023年6月28日

すぎやまたくや/岡戸香里コラボライブにて 2023年6月28日

すぎやまたくや/岡戸香里コラボライブにて 2023年6月28日

気が付くと、演奏が録音のループになっており、タクちゃんは、ライブペインティングに入る。

そのスムーズさに驚く

すぎやまたくや/岡戸香里コラボライブ 2023年6月28日

すぎやまたくや/岡戸香里コラボライブにて 2023年6月28日

すぎやまたくや/岡戸香里コラボライブにて 2023年6月28日

すぎやまたくや/岡戸香里コラボライブにて 2023年6月28日

すぎやまたくや/岡戸香里コラボライブにて 2023年6月28日

 

残念なことに、ギャラリーの床は少し傾いていて、絵具が流れてしまうので、作品としては残せないようだけれども、勢いのある美しい絵が出来上がる。

すぎやまたくやさん、ライブペインティング作品 2023年6月28日

 

伝統舞踊から始まって即興が終わるまで、約45分。

そこには、作り物ではない、リアリティだけがあった。

 

10分休憩して、なおみちゃんをモデレーターをして、3人でお話し会(対談)

私は話はあまり得意ではないと自分では思っていて、本当に口について出てくること(口から出まかせ)しか話せない。(というより、私たちの口から出る言葉は、すべて口から出まかせで、私たちがコントロールしているものではないと感じている。)

対して、タクちゃんは、水が流れるようにスムーズに話す。素晴らしい話し手である。そして、聞き手に対しても、わかりやすく、親切に話しているなぁと感心する。そして、なおみちゃんはしっかり対談を形作ってくれた。

すぎやまたくや/岡戸香里/入江直美 お話会 2023年6月28日



たくさんの素晴らしい感想をいただいたので、ここで一部紹介させてください。

すごいことに、身体の変化を感じている方たちが何人かいらっしゃいました。実は私もその一人かも。身体がずっと軽い。

 

<来てくださった方々のご感想>

・とても気持ちのよい時間でした。身体が軽くなった気がしてます。

 

・素晴らしい舞をありがとうございました💕。たくちゃんとのコラボ時、何度かすごい目力を感じ、身体の中を何かが通って行った感じでした。帰宅時、身体が軽く混雑した車内も快適に感じ、なんじゃこりゃ〜浄化というもの?て思いながら、帰りました。

 

・イベントとても楽しかったです。かおりちゃんの生舞踊は、手と足の隅々まで意識が入ってて感動でした❣柔らかさと力強さ両方、素晴らしかった。タクちゃんのヒーリングホーミーも素晴らしかったし、ライブペイントと踊りのコラボもお話会もとても素敵で快適な時間でした❣️

直美ちゃんの企画と進行も👍👍

 

・かおりさん、素晴らしいダンスを見せていただき、ありがとうございました💕

昔バリ島に行った時見たパリ舞踊とは全く異なり迫力がありました!(良い意味😊)

お面をつけた時はかおりさんと違った美しさや洗練された動きに感激のあまり泣きそうになりました。

 

・本当に素敵なパフォーマンスをありがとうございました🥰💓✨

本当に奇跡としか言えない素晴らしいコラボレーション。

もう本当に言葉も出ない程に素晴らしくて、かおりさんが神々しく美し過ぎてほんとに涙を堪えるのに大変でしたし、鳥肌が立ちっぱなしでした😭✨

あの伝統舞踊の男の踊りは色気が本当にすごくて、力強いのに柔らかくて、指の動きや首や顔の角度の繊細さから作り出される表情がまるでお面とは思えない表現の奥深さを感じました。そしてジャワの宮廷がまるで見えるかの様な錯覚。

対してタクちゃんのホーミーと楽器のもの凄いエネルギーとかおりさんの神々しい踊りが見事な場を作り上げていて、正直時間も空間も何も無くて、美と舞とエネルギーと音とそれに対する反応だけがあって、本当のリアリティを示してもらったなと思いました😭💓✨

今まで(真理の)探求してきたのはどこか机上の空論の様なリアリティの無さを感じてしまいました。それ位本当にただ本物のリアリティだけがあったなという感じでした。

ただただ反応だけがあって、事実というリアリティだけがあって、それがアートというストーリーを創り出す。
沢山の本を読むよりも、誰かのお話を何十回聞くよりも本当に知りたかったこと、気付きたかったことが全部全部ここにあった。
本当に「これしかない」って感じ。

お話し会も素晴らしかった😍✨

そしたお誘いした方々みんな、すごくすご〜く興奮していた様でまた観たい❗️と言っていました💓翌日も朝から凄かった!とみなさんから連絡を頂きました😆

感想が文字で語り尽くせないーー😁💦

 

・昨夜は"お疲れ"様でした!が違う気がする程、湧き出る様な気持ち良さそうな舞台でした🌊

 

・とても素晴らしいライブを見せていただきありがとうございました!

友人たちも大興奮で、とにかく受け取ったものや感じたものが多くて頭がパンパンーーと騒ぎながら帰路につきました(笑)

早速揃ってタクヤさんのWS申し込みましたし😆

これまでみた事のあるコラボライブ(それほど機会があるわけではありませんが)とは比べものにならないくらい一体感がすごかったです✨これまで観たことがあるものはどうしてもコラボといっても別々に行われてる感じが否めなかったのですが、昨日のライブは本当に交流がみえるというか、観客も含めた一体感があって、とにかく濃密で、経験したことない感覚でした。

お二人のお話も興味深いものばかりで楽しく、もっと聞きたいくらいでした!

かおりさんがおっしゃる、「私」も「あなた」もなく、ただそこに踊りが存在してるという感覚…まだ経験したことがなく、自分もそんな感覚を味わってみたい!と思います。

また、ライブから帰宅して眠ってからもずっとタクヤさんがライブペインティングで描かれた緑色や青がずっと身体のなかを流れているような感覚があり、翌朝は睡眠時間が普段より短かったにも関わらず、すごく深く眠れたなぁーと起床し、なんだか細胞が一部入れ替わったような不思議な感覚がありました。すごい芸術に触れるとそういうことってあるんだなぁと、改めて芸術の力、お二人の凄さを実感しました✨❤️

 

・本当に凛としたなかにあるたおやかな動きに魅了されました!takuyaさんとのセッションでは深いところでは何でも見えてしまう。何でもわかってしまう。という域からの場と間の共演で素晴らしかったです。

 

・素晴らしかったです💖

仮面が思ったより鼻が高くて(笑)

手の動きが綺麗できっとそれぞれに意味があるんだろうなぁと思いながら、動きのしなやかさに見惚れてました。杉山さんとの繋がりも滑らかで。彼の演奏と声が不思議でたまりませんでした。

 

他にも、口頭で聞いた感想に

・コラボを見ている間は癌の痛みが消えていました。

・そこに全てのリアリティがあって、「さとり」なんてどうでもよくなりました。

・帰り道なぜか温泉に入ったようにゆるみました。

・パフォーマンスを見て以来、不整脈が出ておらず、身体が軽いです。

 

等がありました。

 

涙が出るほどうれしいご感想をいただきました。

踊っていた本人も、いったい何が起こっていたのかよく分かっていませんし、実際は何も起こってなかったのでしょうが、あの場をみんなで共有できたこと、本当に本当に嬉しかったし、感謝しかないです。

そしてあの美しい空間で、美しい絵と優しい人々、癒しの音楽に囲まれて踊れたこと、本当に嬉しく、気持ち良かったです。ありがとうございました。

 

以上です。


乱筆乱文、お許しください。

 

皆さまにとって、素敵な一日となりますように!