香りの舞い ~流れる水のように 燃える火のように 静かな大地のように 自由な風のように~

ジャワ舞踊やガムラン音楽に関すること、日々の気付きや学び、海外生活で見聞したこと、大好きな植物や動物に関してなどを、私が感じたことを気ままに、ゆるゆると書いていきます

戸津コレクションとエピソード:「バティックと日本」展を終えて ~ バティック編(3)

「バティックと日本」展を終えて数日たちますが、まだまだ興奮冷めやりません。また、やはり疲れが取れきっていないらしく、昨日は朝方に悪夢をみました。踊らなければいけないのに、衣装の一部が足りない。それで、取りに帰る(すぐ近くの設定でした)ために、踊る順番を変えてもらったのですが、その前に、メークを終わらせようと思っているのに、メークが失敗ばかりでなかなかできない。何度やり直してもうまくできない。でも刻々と時間は迫ってきて、非常に焦っているという悪夢でした。その悪夢のせいか、雨模様のせいか、昨日は一日、体が硬くて、どよーんとした感じでした。

 

それはさておき、昨日までは、主に私がお手伝いしていた、プカロンガンのCahyoさんのバティックを紹介していましたが、今日から数日に分けて、他のバティックをご紹介しますね。とはいっても、私はバティックに詳しいわけではないので、詳しくは説明できませんが、エピソードも加えて、出来る範囲でご紹介します。また、私は、踊っている日以外は、Cahyoさんのブースに張り付きだったので、他のブースのバティックを見る時間がほとんどなかったのも残念でしたが、隙間時間に撮影した写真です。

 

まず、国士舘大学の名誉教授でいらっしゃる戸津先生のコレクション。戸津先生は確か政治がご専門だったと思いますが、学生の頃から、ジャワのバティックを集めていらっしゃり、そのコレクションはとても貴重で素晴らしいです。あまり写真を撮れなかったのが残念ですが…。

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「戸津コレクションエリア」photo by Kaori

分かりにくいかもしれませんが、左端にあるのが、ジャワの鹿鳴館の柄なんだそうです。貴重なもの。それから、良いアンティークバティックは手触りがとてもよい。薄くてサラッとしていて、ひんやりしています。

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「戸津コレクションのバティック」photo by Kaori

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「戸津コレクションのバティック」photo by Kaori

残念ながら、あまり写真を撮っていませんでした。記念撮影の写真の後ろも戸津コレクションのバティックです。ハルジョナゴロという、ソロの有名な高級バティック工房のもの。

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「戸津コレクションのバティックの前にて」photo by Kaori

そして、こちらも、戸津コレクションのバティックの前でパチリ

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「戸津コレクションのバティックの前にて」photo by Kaori

 

まだまだ引き出しにしまってあるものや、棚の上に並べられているものなど、大量の貴重なバティックがありました。

 

はじめにどう集め始めたのかのお話を戸津先生にお伺いしたのですが、紹介されて王族の方々の家を次々まわって、貴重なバティックのコレクションを見せていただけるようにお願いしたのだそうです。普段は、ロスメンのような安宿に泊まっていても、王族の家にお伺いする時は、五つ星のホテルに泊まっていたそうです。だいたい、王族の方の家からお暇するときに、「どちらにお泊りですか」と聞かれるので、ホテル名を答えるのだそうです。すると、後におつきの方がホテルにやって来て「もしご興味があるなら、少しならお譲りしても良いと、奥様がいっていらっしゃいます」と言われるのだそう。そこで、結構奮発して、王族のアンティークのバティックを買い取られていたそうです。そうして、その王族の方にまた別の王族の方を紹介していただき、その家にも行ってバティックを見せてもらい、後に買い取るという繰り返しだったそうです。そうして、貴重なバティックを集められ、保管をし、私たちが見れるようになっているのですね。私にとっては、非常に興味深いお話でした。

 

戸津先生は、ジョグジャカルタ障がい者学校のために、毎年車いすを寄付するという、素晴らしい活動も続けていらっしゃる方です。また、日本の伝統芸能をジャワへもっていったり、日本とジャワの交流にも力を入れていらっしゃいます。ソロの大学でのジャワ研究の推進にも多大な貢献をされています。私も、いろいろと目をかけていただいて、ありがたいばかりです。

 

また、私がお手伝いをしていて、昨日のブログで取り上げた、今は有名バティック作家になったCahyoさんにも、戸津先生は大きな影響を与えているそうです。まだ無名で、ジョグジャカルタで自然染料を使ったバティックづくりをしていたCahyoさんが、プカロンガンに来た戸津先生をホテルに訪ねてきたのだそうです。そして、有名になりたいけれども、どうすればよいのかと、戸津先生にアドバイスを求めたのだそうです。戸津先生のアドバイスは、私も全部記憶していないですが、「自然染料はやめて、化学染料で自然染料のような色を出す。暗い色合いで勝負する。バティックには必ず自身の名前を入れる。絵がうまくなくてはいけない。」などなどがあったとおもいます。それでCahyoさんは、出身地のプカロンガンへ戻り、戸津先生のアドバイスの通りにしたら、今や超有名バティック作家になったというわけです。戸津先生のバティックの本にも取り上げられ、日本からもバイヤーが多く行っているそう。そして、ジャカルタからもバイヤーがたくさんやってくるそう。高額のバティックがすぐに売れてしまうのだそうです。このエピソードもすごいですよね。

 

長くなるので、今日はこれくらいで。

 

読んでくださってありがとうございます。

あなたにとって素晴らしい一日となりますように。

 

<今日の植物(庭の植物シリーズ)>

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「雨の中、可愛らしいピンク色のカンナが咲きました。去年、種から育てたもの」photo by Kaori