香りの舞い ~流れる水のように 燃える火のように 静かな大地のように 自由な風のように~

ジャワ舞踊やガムラン音楽に関すること、日々の気付きや学び、海外生活で見聞したこと、大好きな植物や動物に関してなどを、私が感じたことを気ままに、ゆるゆると書いていきます

ジャワの新年 ~ジャワでの出来事の記録

このブログにご訪問頂きありがとうございます。

 

日本に戻ってきて3週間。いろいろ用もあってバタバタしていましたけれども、次回のジャワ渡航の前までに、ぼちぼちジャワでの出来事もブログに書いていけたらと思います。

ジャワにいるといろんな事が目まぐるしく過ぎていき、前日のことが、もう1週間前のことのように感じていました。踊りの公演に、仕事に、ジャワ舞踊やガムランの練習に、ジャワのいろんな行事に参加、コンサートの鑑賞など。ブログの更新もなかなかできず。書きたいことはいっぱいあったのですけれどもね。

日本に帰ってきて、少し落ち着き、ありがたいことにジャワにいるときより時間の余裕あるので、記録のために、思い出しつつ、楽しんで書いていけたらと思います。

 

さて、しばらく前のことになりますが、2019年9月1日は、ジャワ歴のスロの月の1日。いわゆるお正月でした。ちなみに、これは、西暦では毎年12日ぐらいずれていきます…。

みそかだった8月31日の夜は、ソロの王宮で儀式がありました。

ソロには2つの王宮があり、私は普段から舞踊やガムランの練習をさせていただいているマンクヌガラン王宮の儀式に参加させていただきました。以前も何度か参加させていただいていましたが、今回は久しぶりでした。5年ぶりぐらいですかね。ちょっと忘れてしまいましたが。

 

今回はマンクヌゴロ王家の親戚であり、いつも何かと良くしてくださるバサラさんにお誘いいただいたので、正装してマンクヌガラン王宮のプラチ(王宮内部)へ。

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「Malam Satu Suroの儀式の前にマンクヌガラン王宮のプラチにて、バサラさんと」

その後、プンドポの周りに並べられた椅子で、儀式が始まるのを待ちました。

 

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「マンクヌガラン王宮のプンドポにて。キラブが始まるのを待ちます」

 

王族の方々も大集合

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「マンクヌガラン王宮のMalam Satu Suroの儀式。王族の方々が集まっています」photo by Kaori

今回は、招待客も招待状の種類によって分けられていて、また、服装も前もってきっちり指示が出ていたようで、なんだか、いつもとは違った雰囲気。レベル分けされて、管理されている感じ。なんだか変わりましたね。差別化が進んでいるというか。以前のような和気あいあいした感じではないような気もします。

でも、例年のように、ちゃんと一般の人でも参加できましたよ。正装してこれば、行列(キラブ)にも参加できます。

 

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「護衛隊(?)も準備中」photo by Kaori

 

キラブは、中から持ち出されたプソコ(宝物、布に包まれた槍かな?)に付き従って、マンクヌガラン王宮の壁の周りをゆっくり一周します。

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「プソコが出てきました」photo by Kaori

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「プソコが出てきました」photo by Kaori


以前、お手伝いで参加した時は、各グループに松明を持つ人がいて、そこに時々お香を投げ入れる係だったのですが、今回は、そういうお手伝いもなかったので、適当なグループの後について歩きました。そして、今回は松明がなかった。その年によって違うのですね。

 

以下、お友達のカメラマンの方が撮影した写真を使わせていただきました。

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「Kirab Malam Satu Suro di Mangkunegaran」photo by Agus Budi Santorso

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「Kirab Malam Satu Suro di Mangkunegaran」photo by Agus Budi Santorso

マンクヌゴロ家の王様と王妃様です

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「Kirab Malam Satu Suro di Mangkunegaran」photo by Agus Budi Santorso

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「Kirab Malam Satu Suro di Mangkunegaran」photo by Agus Budi Santorso

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「Kirab Malam Satu Suro di Mangkunegaran」photo by Agus Budi Santorso

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「Kirab Malam Satu Suro di Mangkunegaran」photo by Agus Budi Santorso

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「Kirab Malam Satu Suro di Mangkunegaran」photo by Agus Budi Santorso

 

キラブの時はは靴も履かず裸足で、話すことも禁止で列を組んでシズシズと歩きます。(たまに靴を履いている人もいますが、本来は禁止です。)ちなみに、雨が降っても傘をさすのは禁止とか。今回は乾季であったこともあり、雨の心配は全くなし。

いつもは混んでいるこの辺りの道路も、この行列のために通行止めとなり、周りにびっしり見物人が並びます。そして、行列を守るための、警備の人たちも、ぎっしり。ボーイスカウトの人たちも、警備に駆り出されていました。

見物人もほとんど話すこともなく、静かに見守ります。

たくさんの人が集まっているのに、普段のソロではありえないような静寂の中、行列は進みます。今年は特に静かだったような気がします。観客も喋らないように、警備の人に言われていたのですかね。

普段は多くの音であふれているソロでは考えられないような静寂で、驚きとともに、ちょっと感動的な、本当に得難い経験でした。神聖な全く違う世界にいるような感覚でした。

 
キラブは、1時間ほどで終わったでしょうか。

キラブを終えるとボックスのご飯がいただけます。

 

マンクヌガラン王宮でも、王族の方たちがお供えした花びらやコインなどを入れた袋を投げる儀式(日本のもち投げを連想させます)などがあるのですが、その夜は他にもいくつかのイベントが行われていたので、近くの市役所のプンドポで行われていたコンサートを、私の踊りの先生のIbu Kurと、踊り仲間のみらいさんと、見に行きました。

見たかったブドヨは終わってしまっていましたが、先生方とおしゃべりしたり、いくつかの興味深い作品は見ることができました。

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「ソロ市役所のプンドポでmalam satu suroの行事のために公演された作品のひとつ」photo by Kaori

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「ソロ市役所のプンドポでmalam satu suroの行事のために公演された作品のひとつ」photo by Kaori

 
そこが終わったあと、マンクヌガラン王宮にとんぼ返り。早く戻らないと、瞑想が始まる前には、マンクヌガラン王宮の門が閉められ、入れなくなってしまいます。

バサラさんにお誘いいただいていたので、マンクヌガラン王宮のプラチへ行き、飲み物を飲みつつおしゃべりしながら、Semedi(瞑想)参加に備えます。時間が遅かったので、飲み物も食べ物もほぼなくなっていましたが、ちなみに、そこでの飲食もすべて無料。

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「マンクヌガラン王宮のプラチにて、瞑想前に記念撮影」

11時半頃には瞑想のための部屋に大勢で入り、それぞれの場所に陣取りました。運良く、もたれられる棚の前に座れ、少し楽でした。

でもジャワの正装で床で座って瞑想するのはなかなかキツイです。

いろいろアナウンスがあり、ジャワ新年の明けた0時きっかりに瞑想の始まりです。

黄色の布に包まれたプソコの槍が持ち出されて、真ん中辺りに立てられ、その後に、布に包まれた太い円柱型らしきものが、その右の台に乗せられ、最後に茶色の布に包まれた、長い槍のようなもので、先に平たい部分のあるものが持ち出されて、真ん中に立てられました。

ちなみに私たちは南側に横に長い半円を描くように座っていました。

すべての電気が消され瞑想の始まりです。

暗闇に中で、祭主(?) が、線香の束に火をつけて、皿のような容器で燃やしているのが見えます。ちょっと、天河神社宮司さまによる地護摩厳修神事を思い起来させるようなものでした。

火は強くなったり、弱くなったりしながら、割とすぐに消え、暗闇に戻ります。

瞑想中、何度かそれが繰り返されたように思いますが、瞑想していたので、よくわかりません。

瞑想が終わったのは午前1時20分頃。以前は1時ぐらいに終わっていたと思うので、今回は長かったようですが、あっという間に感じました。

プソコが出てきた順に片付けられ、最後の先に平たい部分のある槍のようなものの、平たい部分で、参加者の頭の上を、お祓いのように、スーッと横に動かしながら、かざしていきました。みんな手を合わせていました。

ある意味、日本ととても似ているように思います。

とにかく素敵な夜でした。このような素晴らしい儀式に参加させていただけて幸せでした。

 

他にも、大勢の人たちが、私たちが瞑想していた部屋の外の大プンドポで瞑想をしていました。

大勢での瞑想はやはり気持ちよいですね。

ジャワ歴のこの年がみんなの祈りで素敵な年になると良いですね。

 

読んでくださってありがとうございました。

あなたにとって素敵な一日となりますように。