香りの舞い ~流れる水のように 燃える火のように 静かな大地のように 自由な風のように~

ジャワ舞踊やガムラン音楽に関すること、日々の気付きや学び、海外生活で見聞したこと、大好きな植物や動物に関してなどを、私が感じたことを気ままに、ゆるゆると書いていきます

ソロからプカロンガンへの旅(2) Cahyoさんの自宅/バティックショウルーム

いつも読んでくださってありがとうございます。

 

今日は、体調がまだ万全ではないですし、明日からまた忙しくなりそうなので、基本的に、おとなしくしています。そんなわけで、ブログの更新をします。

今日は、先日書いた、プカロンガンへの旅の記録の続きです。

 

カロンガンでは、先日、日本にいらした、Cahyoさんのバティック工房を訪ねるのが一番の目的でした。あの素晴らしいバティックがどういう場所で、どういう方たちによって、どう作られているのか興味があったのです。

それで、車で、Cahyoさんの自宅に直行しました。先日も書きましたが、Cahyoさんの携帯電話は一週間以上、壊れたままになっており、携帯電話はつながらない、家の電話は何度かけてもなかなか出ず、一日中かけて、やっと繋がるぐらいという有様で、連絡がうまく取れずにヤキモキしていました。でも、その日の朝には、携帯電話が直っており、ホッとしました。こういうところも、日本人とインドネシア人は違うのですかね。私は、前もって連絡が取れないと、心配になってしまいますけど、インドネシアでは、急な予定変更は当たり前で、携帯電話が壊れても、平気な感じですね。まあ、何とか、どうにでもなるので、そこが良いところですけれども。

携帯電話がつながるようになったこともあって、スムーズにCahyoさんの自宅までたどり着きました。

まあ、素晴らしいご自宅でしたね。入り口は普通なのですが、中に置いてあるものが、素敵でした。入ってすぐのところがショウルームのようになっていました。両側の箪笥は、ソロで作らせたもののようで、一方には、カスナナン王家のパクブウォノ10世をあらわす、PB Xのマークが入り、もう一方には、マンクヌゴロ王家を表すMNのマークが入っていました。古い箪笥のコピーのようです。それでも、豪華には変わりなかったです。

そして、真ん中に置かれた、一枚板の長いテーブル。それだけでもすごいです。



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「PB Xのマークの入った箪笥」photo by Kaori

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「MNのマークの入った箪笥」photo by Kaori

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「一枚板のテーブル」photo by Kaori

 

ここは、超高級バティックを製作する工房なのですが、いろいろと、新しいチャレンジをしています。

ろうけつ染めなので、ロウで絵をかいて、染色とロウ付けとロウ落としを繰り返すわけですけれども、一枚布なので、普通は、裏も表も同じ色になりますよね。それが、ここの工房では、裏と表を違う色で染めるという技術を持っています。ちなみに、素材は、綿かシルクです。表からと裏からと、全く同じようにロウ付けする必要もあります。そして、ここの手書きバティックは、信じられないほど細かい!それを、両面同じようにロウ付けするなんて、もう神業ですね。一枚、製作だけで15か月はかかるとのこと。ここでは、一枚の布は一人でロウ付けするそうですが、一人がフルタイムで働いて、15か月だそうです。

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「表裏で色の違うバティック」photo by Kaori

両面色の違うバティックは、先日、日本にも持って来ていたので、見せていただいたのですが、今回、初めて見せていただいたのは、一枚でベースの色が4色のバティック。もともと、一枚のバティックを、半分ずつ染めるPagi Sore(朝夕)と呼ばれるものはありますが、それは、それに加えて、裏側の色も変えてあり、Pagi Sore (朝夕)Siang Malam(昼夜)と呼んでいました。

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「一枚で4つの色合いのバティック」

ものすごく美しい。綿の布もとても気持ち良いです。

インドネシアで購入しても、一枚120~130万円だそうです。でも、ジャカルタのお金持ちはコレクションとして、ガンガン買うらしいです。すごいですね。

 

また、今回もっと驚いたのは、両面で色が違うだけでなく、柄も違うものを製作していたこと!新作だそうで、まだ売らないと言っていました。

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「両面で色も柄も違うシルクのバティック」photo by Kaori

ちょっと、写真ではわかりにくくてすみません。温度の高いロウで、ロウ付けするので、普通は、布の反対側まで、ロウが通ってしまいます。それを、どうやって、全く違う柄にしているのか、本当に不思議です。表に柄がある所に、裏に柄がないのですから。ちなみに、写真では植物のところしか撮影していませんでしたが、鳥の柄も書かれていて、赤い方が鶏、茶色っぽい色の方が鳳凰が書かれていました。

新しいことにチャレンジする精神に敬服の念でいっぱいです。

1年以上もかけてロウ付けする絵で、一か所ちょっと間違えただけで、パーになってしまうのですから、新しいことにチャレンジするリスクは高いと思います。そして、その大きなリスクを負って、また、長時間かけて製作するのですから、高くても当たり前ですね。むしろ、安いぐらいかもしれません。

 

他にも、私は踊り手なので、踊る時や、結婚式で花嫁さんが着る、ドドタンを、特別に何枚か見せてもらいました。これも売らないと言っていましたので、値段は聞いていないです。

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「プカロンガンのドドタンby Cahyo」

美しい~。ため息が出ます。

これ、一枚の布です。これを、一人で身にまとうわけです。ドドタンは着たことが何回かありますが、着るのは結構大変です。

そしてもう一枚。これは、半分で縫い合わせてあるとのこと。

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「プカロンガンのドドタンby Cahyo」

バティックの花はこんな感じ

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「ドドタンに描かれた花」photo by Kaori

 

他にも、正方形の飾り布などを見せていただきました。

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「バティック by Cahyo Pekalongan]

 

 

 

 

 

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「バティック by Cahyo Pekalongan」

模様をアップするとこんな感じです。

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「バティックの模様」photo by Kaori

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「バティックの模様」photo by Kaori



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「バティックの模様」photo by Kaori



ここのバティックのすごいところのひとつは、花ひとつとっても、ひとつひとつ柄を変えていたりするところなのですよね。すばらしい。

 

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「コーディネートの一例」photo by Kaori

 

そんなこんなで、あっという間に時間は経ち、いそいで、制作工房に向かうことになりました。

そのことについては、また次回。

 

読んでくださってありがとうございました。

あなたにとって素敵な一日となりますように。