香りの舞い ~流れる水のように 燃える火のように 静かな大地のように 自由な風のように~

ジャワ舞踊やガムラン音楽に関すること、日々の気付きや学び、海外生活で見聞したこと、大好きな植物や動物に関してなどを、私が感じたことを気ままに、ゆるゆると書いていきます

断食月の思い出(1)〜ジャワの思い出

水曜日の夕方から、イスラム教徒は断食月に入りましたね。ジャワは90パーセントほどがイスラム教徒で、私の友人達もイスラム教徒が大多数です。ジャワでは、断食月に入る前にお墓参りに行き、備えていたのを思い出します。

私は2003年の9月からスラカルタに住んでいたのですが、その年は10月の終わりぐらいから断食月でした。イスラム暦太陰暦で、太陽暦より1年が10-11日短いので、太陽暦で見ると、断食月は毎年ずれていきます。そんなわけで、今年はこの時期なんですね。

断食月は、全く食べないというわけではなく、夜明け前の祈りから、日没直後の祈りの時間まで、一切の飲食を断ちます。もちろんタバコも。ちなみに私が以前住んでいたスラカルタの、今日のお祈り時間を調べてみると、夜明け前の祈りの時間は、午前4時23分、日没直後の祈りの時間は、午後5時29分となっています。これは地域によっても日によっても変動します。この時期の日本だったら、日が長いので大変でしょうね。この間、断食をするわけです。

でも、病気の方、旅行中の方、生理中、妊娠中の方などは断食しなくても良いそうです。真面目な方は、その分、あとで個人的に断食をしたり、モスクに寄進したりされるそうですよ。

断食月はあちこちで、夕方の断食明けの食事をみんなで食べる集まりが催されます。その集まりには、イスラム教徒だけではなく、そのグループの交流のある人は、誰でも呼んでもらえるので、私もよく参加させてもらっていました。パーティが多くて、断食月は逆に太る人も。

スラカルタでは、断食月は、だいたいみんな、朝3時半ごろには起きて、朝食を食べていると聞きました。その時間には、「サウール、サウール」と朝ご飯を売り歩く人の声が聞こえてきます。その時間に起きて飲食しないと、夕方まで何も飲食できないので、地域によっては、食べそびれたらかわいそうだからと、誰かがドアや窓をどんどん叩いて起こしにくるところもあるそうです。留学生仲間の友達は、イスラム教徒ではないから、どんどん叩かれても起きなかったら、部屋の電灯をつけるまで、どんどんされ続けたのだそうです。それで、仕方なく、毎朝、どんどんと来たら、とりあえず電気をつけるとぼやいていました。

ちなみにジャワでは、1日5回のお祈りの時間を知らせるアザーンが、そこら中にあるモスクのスピーカーから大音量で流れるので、初めてジャワに来た人は、特に早朝のアザーンの大音量でびっくりして起きちゃうようです。私は慣れてしまって、寝ていても聞こえず、起きません。慣れってこわいですね。

断食はイスラム教徒でも、全員行なっているわけではないです。インドネシアではつい最近まで、インドネシア人は政府が認めた6つの一神教の宗教のうちのどれかを信仰し、身分証明書にも宗教が記載されていなければならなかったので、便宜上、イスラム教徒としているけれども、お祈りや断食をしない人も多いのです。また、一応断食はするけど、結構やり方が甘い人もいました。基本的にジャワはとてものんびりしているので、ゆるい人も結構いますね。特に私の周りは、芸術関係者が圧倒的に多いので、彼らはイスラム教徒と言っても、クジャウェン(ジャワ土着の信仰/哲学とヒンドゥーイスラムが混交したもの/ジャワ神秘主義)色が強く、生粋のイスラム教徒という感じではないです。イスラム教の前は、仏教やヒンドゥー教が発展していました。ボロブドゥール(仏教寺院)やプランバナン(ヒンドゥー寺院)などの有名遺跡もジャワには残っていますしね。特にヒンドゥー文化の影響は、ジャワ社会にまだまだ強く残っています。ジャワのイスラム化の時期ははっきりしないですが、14世紀後半には確認できているようです。16世紀ごろから急速にイスラム化が進んだとのこと。また、ジャワでは、最初に入ってきたイスラム教がイスラム神秘主義、いわゆるスーフィズムなので、神秘主義的な面も多々残っているのではと思います。もっとも最近は、もっと厳しいイスラムの考え方が浸透てきていて、勉強会もたくさん行われており、ジルバブ(女性が髪を隠すために巻くスカーフ)を被る人も格段に多くなり、イスラム色が以前より強くなってきていることがひしひしと感じられます。ジャワ文化が衰退していくこと、芸能の発展の面からも、私は少し懸念しています。

ちなみに去年の11月から、インドネシア政府が認めた6宗教以外にも「信仰 kepercayaan」というのが選べるようになり、クジャウェンもここに入ります。これは大きな変化だと思います。余談ですが、仏教もブッダ唯一神として、宗教として認められてます。6宗教はイスラム教、ヒンドゥー教、仏教の他は、キリスト教カトリックプロテスタント儒教があります。儒教一神教なのか?うーん。どういう考えなのかよくわかりません。

断食は体が軽くなり、体調のよくなる人もいるらしく、イスラム教徒でなくても、この時期に断食をする人もいました。やはり、仲間がいるとやりやすいようです。留学生でも試している人もいましたね。私は食い意地が張っていますし、お腹が空くのが苦手なので、断食なんてとてもできませんが(笑)。

まだまだいろいろ思い出がありますが、長くなってしまったので、また別の日に続きを書きますね。

最近ではイスラムに関して怖いイメージを抱かれている方も多いかもしれませんが、普通の人たちは、本当に普通に素晴らしい人たちですよ。

 

読んでくださってありがとうございました。

 

あなたにとって良い一日となりますように。

 

<今日の植物(庭の植物シリーズ)>

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 「洋蘭の一種クロウェセタム・ジャンボ・エデン・ジャンボオーキッド。ちっちゃなタケノコのようでしたが、春になったら新芽が出てきました。」photo by Kaori