香りの舞い ~流れる水のように 燃える火のように 静かな大地のように 自由な風のように~

ジャワ舞踊やガムラン音楽に関すること、日々の気付きや学び、海外生活で見聞したこと、大好きな植物や動物に関してなどを、私が感じたことを気ままに、ゆるゆると書いていきます

ジャワの結婚式での舞踊

いつも読んでくださってありがとうございます。

 

今日は、8月のジャワ滞在時の記録の続きです。ジャワの結婚式での舞踊について。ジャワに住んでいた時は、機会があれば踊っていたので、以前のことについても交えて書きますね。

 

8月19日に、知り合いの御親戚の結婚式があり、ありがたいことに、お呼びがかかって踊ってきました。

もちろん、ジャワ舞踊です。今回は、マンクヌガラン王宮関係だったので、マンクヌガランのガンビョン・ルトノクスモを踊ってきました。残念ながら生演奏ではなく、録音の音楽でしたけれども。

以下は、着替えのための部屋での写真です。

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「結婚式で踊った時の楽屋で撮影」

 

スラカルタとその周辺の結婚式で踊られる一番ポピュラーな舞踊は、ガンビョンという種類の踊り。もともと農村で豊穣を祈るために踊られていた舞踊がもとになっているそう。

マンクヌガランのガンビョンは、踊れる踊り手が限られていますけれども、スラカルタの一般的なガンビョンを結婚式で踊る時は、生演奏であっても、まず前もって練習をすることはないです。なので、初めて会った人と一緒に踊ることもたまにあります。それほどポピュラーな踊りで、踊り手も演奏者も知っていて当たり前の踊りです。踊り手の数は、会場の広さや、経済力にもよりますが、必ず複数。スラカルタの結婚式の場合、式場の通路で踊ることが多く、縦長で、一列で踊ることが多いです。その場合、列の順番も、踊っている最中に、適当に入れ替わります。暗黙の了解で、スリシッグと呼ばれる、小走りでの移動の時に、前にいる人が後ろに向いたら、そこで入れ替わりというのがあるのですが、たまに入れ替わりを拒否されることも(笑)。その次の部分の振りがうろ覚えだったり、いまいち自信がないと、前に出るのを拒否して、しら~っと後ろに行ってしまったりします。それでも、何事もなかったのように、踊り手は踊り続けますが、そこには、実は、いろんなドラマがあったりするのです(笑)。

それに、演奏するのも誰だか知らない時も多く、たまに、ものすごく曲のスピードが早かったりして、びっくりしたりすることも。

もちろん、あまり踊られない踊りの場合は、事前に練習することもありますよ。あまり結婚式では踊られないような踊りをリクエストされることもありますし。私も結婚式で4人で踊るスリンピを踊ったことがあります。その時は、何度か練習をしましたよ。他には、仮面舞踊や、スラカルタのゴレッですかね。

または、直前に、ちょっと打合せするだけで踊る時も。けっこう、ゆるくて、いろんなことがありな感じです。だから、何が起こっても、すぐに対応できるのでしょうね。

他にも、男女で踊る恋の踊りを何度か結婚式で踊らせてもらったことがあるのですが、その時は、事前にパートナーに一緒に練習してもらいましたね。慣れていなかったこともあるのですが、やはり、いろんなパターンがあるので、パートナーとの打ち合わせは必要になってきます。パートナーも毎回変わりますしね。男女で踊る踊りも、何曲もあるのですが、一度、踊りの途中で、男女それぞれの踊り手が歌う場面があるドゥリアスモロという踊りを結婚式で踊らせていただいたことがあります。その時に、直前になって、主催者に、どうしても、歌の場面だけ、通路に置いてあるマイクスタンドのところに行って、マイクを使って歌ってほしいと言われ、歌の場面といっても、ゆっくり踊りながらだし、急にマイクスタンドのところに行ってマイクに向かって歌うのはおかしいだろうと言ったのですが、どうしてもと言われ…。そんな時でも、ジャワだといろいろゆるくできているので、臨機応変に対応できてしまうのですよね。男性のパートナーの方が、違和感なく、しかも、とってもかっこよくマイクを取りに行ってくれ、踊りの流れを切らないように、動きながらも、何事もなかったかのように、私のためにマイクを持っていてくれ、「さすが!」と感動したのを覚えています。まあ、その方は、ワヤン・オランのスターの方だったですし、百戦錬磨で、そのくらいは、お茶の子さいさいだったのでしょうけど。私が、まだ、ジャワに行って2年目ぐらいの時でしたかね。

 

結婚式で踊るのは、実はなかなか大変だったりするのです。まず、スラカルタとその周辺では、お客さんは座席に座っていて、食事は係の若い男性や女性がお盆で運んできます。食事は、前菜から始まり、スープ、メイン、デザートと続くので、その人たちの出入りも激しい中を縫って、踊るわけです。また、お客さんたちも、順番にあいさつに行くために、通路を出入りします。また遅れてくるお客さんもいます。そして、だいたい、ビデオ撮影をしており、そのコードが通路にたくさんあったり、間近で、すごく明るい照明を当てられて、撮影されたり、いろいろ起こります。そして、食事や飲み物を運んでいるので、床が結構濡れていたり、汚れていることも多々あります。みんな靴を履いているので気にならないかもしれませんが、踊り手たちは裸足です。そんなこんなで、いろいろ気を使いながら、注意しながら、それでも、平然と、何事もなかったかのように、にこやかに踊るわけです。

ジョグジャカルタの結婚式でも踊ったことがありますが、ジョグジャカルタでは、立食パーティ方式が多いです。その場合、新郎新婦がいる台の前にスペースがあって、そこで踊れるのですが、立食パーティで、お客さんは、食べ物を取りに行ったり、そこで並んだり、食べたり、いろんな人とおしゃべりしたりで忙しく、座る場所もほとんどないし、あまり、踊りを見ていないかも。もっとも、スラカルタでも、みんな食べるのに忙しく、興味のある人しか見ていないと思いますけれどもね。それなので、外国人の踊り手が重宝されるのかも。外国人だと、お客さんも興味を持ってくれる確率が高いですからね。でも、私自身は、外国人だからと誘われるのよりも、普通に、一般の踊り手として踊りに誘われる方が好きかも。ジャワの踊り手たちに交じって、外国人であることは知らせないで踊る方が好きです。もっとも、私の場合、普段、化粧していない時でも、日本人だとばれないことがほとんどなので、踊り手の中に、日本人が一人混じっているとお客さんがわかっていても、どれなのかわからないこともあるようです(笑)

まあ、普通の結婚式で踊るというのは、そんな感じです。それでも、お祝い事ですし、心を込めて踊りますし、それに楽しいですけれどもね。

 

結婚式では、踊り終わったら、前にいる新郎新婦とそのご両親に握手をして挨拶をし、一緒に並んで写真撮影をして終わりです。だいたい、その時には、お客さんたちが、順番に新郎新婦とその両親にあいさつに行き、写真撮影をしている時で、その間を縫って、それを行うわけです。なかなかタイミングが難しかったりします。生演奏の場合は、踊り手の写真撮影が終わるまで、ずっと、音量を落として演奏し続け、踊り手がはける時に、音量を上げて、その中で踊り手は花道を通って退場し、曲も終わるということをします。録音の場合、写真撮影の前に曲が終わってしまうので、目立たないように退場して行きますけど。

 

結婚式で踊る時、踊り手は、自宅でメークをしてから、結婚式場に来ることも多いです。結婚式場では、メークや着替えをするスペースが限られますし、新郎新婦や親戚が、メークや着替えをするのにごった返していることが多く、落ち着いてメークができないので、自宅でやってきた方が楽なのです。ですので、アイシャドウの色だけ、事前に決めておいて、自宅でメークします。そのメークも、時代によって流行り廃りがあり、最近は、以前よりも濃い傾向にあると思います。そして、目の下のきわに白を入れて、目をより大きく見せるのが流行っている感じ。ちなみに、私の場合、メークには1時間ぐらいかかるでしょうか。

多くの踊り手はバイクで移動していると思いますが、ヘルメットをかぶると、かなり濃いメークをしていてもあまりわからないので、その状態でバイクで結婚式場に行きます。もちろん、私もそうします。

そして、結婚式場では、衣装への着替えと、メークの手直しをします。そして、ジャワの子たちは、本当に手際が良く、サーッと出来上がってしまいます。また、終わった後の着替えと片付けもとても速い。あっという間にいなくなります。私も含めたはいつも取り残されそうになります。ジャワの方たちは、いつもはのんびりなのに、なぜひきがこんなに早いのだろうといつも不思議に思います。演奏家の方たちも、終わったら、あっという間にいないです。

 

それは置いておいて、だいたい、早めに準備をするので、準備完了から踊るまで、結構時間があったりします。その間に、余裕があれば、食事をしたりします。結婚式で出している食事を持って来てもらえることが多いです。それでも、お腹いっぱいになると踊りにくいので、私はあまり食べずに、終わってから食べるようにしています。

でも、油断している時に、急に、アナウンスの人が舞踊の名前を言ったりして、急いで出て行って踊ることも、しばしば。それでも、出て行けば、必ず平常心です。その辺りのギャップが面白かったりします。だいたい、踊り手の名前をアナウンスしてくれるのですが、私の名前は間違えられることがしばしば。それどころか、ジャワの踊り手の名前も間違えられることも多かったりします。どうしてそうなるのでしょうね。ゆるいですね。たまに、おかしくて、笑いをこらえながら踊りに出て行ったりします。

 

なんだか思いつくままに、いろいろ書いてしまいました。

まとまりがないですが、楽しんでいただけましたら、幸いです。

 

今回は、ほとんど写真を撮らなかったので、数年前に結婚式で踊った時の写真をアップしますね。

 

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「結婚式でのガンビョン・パレアノム」

この時は、結婚式場ではなく、ご両親の自宅前の道路を結婚式場にしたものですけれども。特に、少し田舎に行くと、みんなこんな感じで、家の前の道路を通行止めにし、家のその近所の人の家の前まで、結婚式場として、屋根を作ったり、じゅうたんをひいたり、飾りつけをしたりして、準備します。

あ、ちなみに、ジャワの結婚式は、本人たちが行うのではなく、両親たちの行事です。ですので、本人たちの知り合いだけではなく、両親の知り合いや関係者、近所の方たちがこぞってやってきます。ですので、お客さんの数はものすごいです。

 

以下は、男女ペアの踊り

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「結婚式でのカロンセ」

 

そして、下の写真は結婚式場で踊った時のものです。こんな感じの通路で踊ります。この時は男踊りを踊りました。

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「結婚式でのメナッコンチャル」

 

読んでくださってありがとうございました。

あなたにとって素敵な一日となりますように。