香りの舞い ~流れる水のように 燃える火のように 静かな大地のように 自由な風のように~

ジャワ舞踊やガムラン音楽に関すること、日々の気付きや学び、海外生活で見聞したこと、大好きな植物や動物に関してなどを、私が感じたことを気ままに、ゆるゆると書いていきます

「天空の祈り」 新宿でのご神事

いつも読んでくださってありがとうございます。

 

数日間、東京へ行っており、ブログはお休みしていました。

今回は、いくつか出席したいイベントや用事があり、いろいろ楽しかったです。いつも、東京の友人宅にお世話になって泊めていただき、本当に本当にありがたいです。

 

秋分の日、9月23日は、新宿文化センター大ホールで行われた「天空の祈り」というイベントへ行ってきました。縁があって、少しだけ、スタッフとして、ボランティアでお手伝いをさせていただきました。以前、このブログでも少し阿部敏郎さんのことを書いたと思いますが、このイベントは阿部敏郎さんとさとうみつろうさんが企画/主催されたもの。阿部さんにはいろんな恩があるので、微力ですが、こんな素敵なイベントのお手伝いをさせていただけて、光栄でした。

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もともとチケットは買っていたので、お手伝いは、開演前と開演後のみで、本番は、じっくり、間近で見せていただきました。

自分の記録のためにも書いておこうと思います。

 

第一部はご神事。このご神事のために、天河大辨財天社の柿坂宮司さんをはじめ、神主さんや、お神楽のご一行、巫女さんたちがいらっしゃいました。

天川村から、はるばる運ばれた大きな榊の木が、神籬として、舞台中央に設置されていました。

 

プログラムを見ると、式次第は、

 

一、修祓の儀(しゅばつのぎ)ー 皆さまのお祓い、お清めの儀

一、降神の儀(こうしんのぎ)― 神籬(ひもろぎ)に、産土神をはじめ、八百萬神の御光臨をたまわる儀

一、献饌の儀(けんせんのぎ)― ご降臨いただいた神様に神饌物を献上する儀

一、斎主祝詞奏上

一、神楽「浦安の舞」奉奏(かぐら うらやすのまい ほうそう)― 皆様のご健康とご多幸をお祈りします

一、大鼓奉奏(おおつづみ ほうそう)

一、御笛奉奏(みふえ ほうそう)

一、斎主玉串奉奠(さいしゅ たまぐしほうてん)

一、代表者玉串奉奠(だいひょうしゃ たまぐしほうてん)

一、斎主一拝(さいしゅ いっぱい)

 

でした。

 

 神社という場ではなく、新宿のホールの中でのご神事。どんな感じになるのかなと思っていましたが、1800人が見守る中、厳粛に行われました。とても美しいご神事でした。特に印象に残ったのは、やはり、降神の儀の時の、宮司さんの祝詞と、「ウォー。ウォー。」という声の響き。天河神社で他の神主さんが「ウォー。ウォー。」とやられた時も、山の方に響き渡っていく、その響きにとても心を動かされたのですが、宮司さんのその声は、もっと低く、でも、なんというか、清らかな、そして、とても心動かされる響きでした。なぜか、この世の中はすべて響きでできているのだなという気がしました。

 

 巫女さんによるお神楽も、とても素晴らしかったです。お神楽は、こんなに良く見える場所で、集中して、じっくり見たことがなかったのですが、私自身が長い間踊っている、ジャワ舞踊の、ブドヨやスリンピといった種類の踊りに似ているなと、とても感じました。祈り、神と人のために踊る、神と人を繋ぐものといった感じがします。もっとも、柿坂宮司さんによると、神さまとは、私たち一人一人のこと。そう考えると、こういう舞踊は、そのことを思い出させるものかもしれませんね。もちろん、お神楽とジャワ舞踊のブドヨやスリンピは動きのテクニックも音楽も表現法も違いますけれども、多くの共通点が感じられました。舞踊は祈りですけれども、それは、意識して表現できるものではなく、長い間の真摯な繰り返しの稽古を通して、踊り手の動きから、自然に生まれ出てきて、見る人にも感じてもらえるものだと思います。一朝一夕で培われるものではないです。そして、踊り手の踊りに対する態度、精神性の高さ、舞踊への理解も非常に重要な要素だなと感じます。踊りには、踊り手の人となりがすべて出てしまいますから。慢心があれば、見る人にはすぐにわかってしまって、見ていられないです。心というか、精神を平らか、無心に踊ることができて、そして、培われた伝統に裏打ちされた舞踊のテクニック/表現があり、それがその人の中で昇華されて、ひとつの踊りとして踊られた時に自然に流れ出るものから、人は心を動かされるのかなと思います。その一方で、踊り手には冷静に外から客観的に自分を見れる目も同時に重要だと思います。そうでなければ、ただの独りよがりかも。そして、やはり呼吸かなと思います。どんな種類の舞踊でも呼吸がとても大事なのは、踊り手であれば常識だと思いますが、踊り手同士の呼吸、見てくださっている方々の呼吸を感じながら、交流をしながら踊ることがとても重要だと、常々感じています。見てくださっている方々は、踊り手と同じように呼吸していますから。呼吸を気と置き換えてもよいかもしれません。世の中、いろんな舞踊がありますし、それぞれ好みもあるでしょうけれども、「これを表現したい」とか、「これを感じてほしい」とか、「観客にこう感じさせてやろう」という踊り手の意識が強く感じられる舞踊は、私にとっては、逆に心に入ってこないなぁと思うのです。もちろん、表現したいものがあるのは、重要ですけど、それだけが先行して、踊りのテクニックにも裏打ちされておらず、昇華もされておらず、心のままに踊られても、なんだか、自己満足なだけで、響かないというか、深みがないというか、そんな風に感じてしまいます。身体の使い方のテクニックと精神の両方が同じように重要だと思うのです。なんだか、舞踊の話になると、熱くなっていろいろ書いてしまって、話がそれましたね…。でも、舞踊は、本当に深い道で、非常に楽しいです。踊りは若い人がするものと思う人がいるかもしれませんが、年齢を重ねても、年齢を重ねなければできない表現があるのです。長い年月、踊りと真剣に向き合ってきた人にしか理解できない境地、そういう人しか伝えられないことが確実にあるのです。ジャワでも、私は、若い人が踊るのを見るより、ある程度の年齢に達した素晴らしい踊り手の踊りを見る方が、感動が深いです。なので、私自身、踊りと共に年を重ねていくのがとても楽しみなのです。これは、踊りだけでなくて、私自身がやっているガムラン音楽でも同じです。また、他の芸術でも同じではないかと思っています。

 この辺で、ご神事の話に戻しますね。いろいろ書いたことなどをぼんやりと考えながら、お神楽を見ていましたけれども、動きの美しさ、精神性の高さもさることながら、その衣装や小物の行き届いた美しさにも、とても心を打たれました。そして、生演奏の素晴らしいことといったら。ため息が出るほどでした。私は雅楽が好きで、以前はよくCDを聞いていたのですが、本当にCDそのままのような素晴らしさで、そして、生演奏で、音響をとても考えられ造られたホールなので、非常に豊かな音でした。本当に美しいお神楽でした。心が豊かに満たされました。

 

 そして、大鼓と笛/石笛の奉奏。大鼓は、人間国宝大倉正之助さん。そして石笛の第一人者の横沢和也さんでした。もう、さすがというしかない、圧巻の演奏でした。お神楽とは全く違う、厳しい、ぴんと張り詰めたような空気。声と大鼓の絶妙の掛け合い、笛と石笛の妙。響きで震える空気。なんだか、心が洗われました。うまく表現できないですが、これだけでも、見に来たかいがあったかも。

 

 ご神事の所々で入る、雅楽の演奏も、それぞれの楽器の音が本当に美しくて、圧巻でした。素晴らしい演奏者を集められたのでしょうね。

 

 そんなこんなで、約一時間のご神事は、あっという間に感じました。天河神社が新宿に現れたような、荘厳な、ご神事でした。神道のご神事というのは、本当に美しいですね。柿坂宮司さんがおしゃるように、神さまというのは私たち一人一人であるということを思い出させるための、精妙な仕掛けなのでしょうかね。

 

 そして、第二部は惣領智子さんによる瞑想。智子さんは私の瞑想の先生です。本当に暖かい、気さくな方で、私は大好きです。もともとは有名な歌手でいらしたので、智子さんの声の力は圧巻。今回は、瞑想への準備として、2曲ほど、バンドと一緒に歌われた後、智子さんのソロでのガヤトリーマントラで、瞑想に入りました。智子さんのガヤトリーマントラは、とてもパワフルです。実はこれまでも、何度も生で聞いたことがあるのですが、今回のホールでは、そのパワーというか、エネルギーが半端ではなかった。目を閉じていても、わぁっと迫ってくるエネルギーをひしひしと感じました。このホールが音響を考えて、劇場の形も椅子も設計されているし、マイクもスピーカーも良かったということもあるでしょうが、やはり、1800人が瞑想に入るという場の力もすごいものがあったのかなと想像しています。瞑想は、大勢の方がやはり入りやすいなぁと最近感じていたのですけれども、今回も30分、あっという間でした。とても、気持ちよかったです。何年も前から、多くの人からリクエストされていた、智子さんのガヤトリーマントラのCDも、最近やっと録音され、前日に発売になったそうで、終演後に早速買いましたよ。まだ、バタバタしていて聞いていないですけれども、楽しみです。

 瞑想は、怪しいと思われる方もいるかもしれませんが、今では、多くの有名企業や学校、果ては幼稚園でも行われるようになり、すっかり市民権を得ましたね。私は、瞑想や座禅をするようになってから、心が調いやすくなり、いろんなことが楽になったと思います。ネガティブな感情の中に長い間とらわれることがなくなりました。特に現代人には必須のアイテムかなと思います。日本でもすっかりポピュラーになったヨガでも、実は、重要なのは動きのヨガではなくて、瞑想なんですよね。私は20年ぐらい前(だったかな?)に、ヨガの先生になるコースを、その時に住んでいたアメリカで受講したことがありますが、その時に、コースの初めにそのことを言われました。ジャワでも普通に瞑想はポピュラーですし、瞑想に対するアレルギー反応があるのは日本ぐらいかもしれませんね。もっとも、行ったことがないところの状況は知りませんけれども…。あれ。また話がそれましたね…。

 

 第三部は、阿部敏郎さん、さとうみつろうさんと、もと七福神のメンバーによる奉納ライブ。歌の内容も良かったし、阿部さんとみつろうさんのトークも面白く、無条件に楽しかったです。それにしても、もと七福神のメンバーの演奏の素晴らしいことといったら。個人的には、キーボードの方から目が離せませんでした。演奏がかっこよすぎる。そしてうますぎる。感覚が素晴らしすぎる。この人は、どんな曲でもかっこよくしてしまうのだろうなと感じました。七福神というのは、30年ほど前に、阿部さんがプロデュースしたグループで、まだ有名ではないけれども、うまい人を集めたのだそうです。ただ、グループはすぐに解散することになってしまったらしいですが、それぞれは、今も第一線で活躍している方たちばかりだそう。今回は、ギター、ベース、ドラム、キーボードの方が参加されていました。彼らのこんな素晴らしい演奏を聴けて幸せでした。

時間が、予定よりもかなりおしていたので、途中で帰らなければならない人も、ポツポツといらっしゃいましたが、最後まで、とても盛り上がりました。

 

 最後に、昇神の儀(しょうしんのぎ)があり、柿坂宮司さんが、また舞台に登られたのですが、その時に、「神さまが、まだ帰りたくないとおっしゃっているのだけれども、どうしましょう」と。そんなこともあるのですね。

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神さまがいらしていたら、そりゃあ楽しかったでしょうね。楽しいのはお好きでしょうし。そういう意味では、踊りや音楽、その他の芸能や芸術って、神さまとのつながりはとても深いなぁと、あらためて思います。

それでも、人間にもいろいろ都合があるので、神さまにはお帰り頂くことになり、宮司さんの「ウォー。ウォー」という声とともに、昇神の儀が行われました。その前に、みつろうさんが、「さっきから、木から水をくれと言われているようなので、水をあげても良いですか」と、木に水をあげているのも印象的でした。確かに、私も、最後の方は、葉がしなっとなってきているなと気になっていたのですよね。

 

 最後に、阿部さんが、宮司さんへの感謝の気持ちを表すためにみんなで歌おうと、ひそかに用意した、宮司さまの好きな歌を、みんなで、宮司さんへの感謝を込めて歌って終わりました。

その歌詞は、

「生きてる喜びを

出会いの喜びを

いまここに出会いなす、あなたとともに

いまここに出会いなす、あなたとともに」

というもの。

去年の11月の天河神社でのご神事の時に、宮司さんが、集まった大勢の人のために歌ってくれたことのある歌です。

 

こうして、無事終演となりました。

 

本当に素敵なイベントで、今でも余韻が残っています。

祈りのイベントに、日本全国からこれだけ多くの人たちが集まったのもすごいこと。約1800人分のチケットが、ほぼ一晩で売り切れたというのもすごいですね。

私も、多くの人と再会できてとても嬉しかったです。

また、スタッフをさせていただいたことで、新しい出会いもたくさんあり、とても幸せでした。ご縁に感謝です。また、イベントも大きな混乱もなく、スムーズに終わり、嬉しい限りです。

 

こんな素敵なイベントを企画し実現してくださった、阿部さんとみつろうさんに感謝です。

阿部さんとみつろうさんから、お礼にとスタッフに、天河神社の勾玉御守と、大祓詞などが載った神拝詞を頂けたもの嬉しかったです。

みつろうさんには、本もいただき、またスタッフ打ち上げの食事代も出していただき、とてもありがたかったです。さすがですね。

 

柿坂宮司さんは、ご高齢なのに、とてもお忙しい中、日帰りで、遠い天河神社から新宿までいらしていただけて、非常にありがたかったです。実は、翌日は、天河神社でとても重要なご神事があるのだとか。そんな中来ていただけるなんて、この新宿での神事は、宮司さまにとっても、とても意味のあることだったのではないかと、想像しています。宮司さんの愛ですかね。とにかく、感謝あるのみです。

 

片付けは、多くの旧知の人と挨拶したり、うろうろしてしまって、それほどお手伝いできなくて、申し訳なかったのですが、片付けの最中に、柿坂宮司さんが書かれて、このイベントに合わせて出版された本を買ったのです。

それがこの本。

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まだ少ししか読めていないですが、とても温かいです。読んでいると、とても柔らかい心になり、心が震えます。

宮司さんの生きざま、そこから経験から得た宮司さん自身の考えが記されています。

これから読み進めていくのが楽しみです。

 

 

読んでくださってありがとうございました。

あなたにとって素敵な一日となりますように。