インターナショナル・ガムラン・フェスティバル(4)~鑑賞編
いつも読んでくださってありがとうございます。
引き続き、ジャワ滞在時の記録です。
今回は、インターナショナル・ガムラン・フェスティバルに関して。
前回は、私が出演した時のことを書きました。
以下からお読みいただけます。
インターナショナル・ガムラン・フェスティバル(3)〜 出演編 - 香りの舞い ~流れる水のように 燃える火のように 静かな大地のように 自由な風のように~
その他の同じトピックは以下からお読みいただけます。
インターナショナル・ガムラン・フェスティバル(1)~ 大通りでガムラン - 香りの舞い ~流れる水のように 燃える火のように 静かな大地のように 自由な風のように~
インターナショナル・ガムラン・フェスティバル(2)オープニング - 香りの舞い ~流れる水のように 燃える火のように 静かな大地のように 自由な風のように~
インターナショナル・ガムラン・フェスティバルは、8月16日まで行われていたので、自分の出演を終えた後も、時間のある時は、公演を見に行ったり、セミナーに参加したりしました。でも、同時刻に、違う場所でいろいろ行われているので、見逃したものは多数。どうして、こんなプログラムになったのでしょうね。結局、他の海外グループの公演は、ほとんど見れずじまいで、ちょっと残念でした。
私は、主に、ソロ市役所のプンドポで、夜行われた公演を見に行きました。フェスティバルの後半は、そこがメイン会場という位置づけのようで、あちこちの王宮からのガムラングループや、その他のグループなどが、公演を行っていました。そして、クロージングセレモニーもそこで行われました。
公演では、基本的に、一グループ30分で区切られていたはずですが、その時間を守るグループが少ないのに、驚きましたね。もっとも、ガムランの曲に30分というのは、大曲をやるには短すぎるという事情もありますけれども。
それにしても、堂々と1時間半も使ったグループには驚きましたね。
後に続くグループが可哀想というか。私も結局、最後まで見れなかったのですが、その日終わったのは、夜中の12時を過ぎていたと思います。
演奏自体は、素晴らしいものが多く、とても楽しめました。こんなに、いろんなグループの演奏が一度に聞けるのは滅多にないことでしたし。それぞれ、演出にも工夫を凝らし、特徴があって、豊かな世界を見せてもらえました。とても楽しめました。ガムランの大きな可能性を感じられる場でした。いろんな偏りも感じましたけど、初めてのこんなフェスティバルですし、このフェスティバルを実現させた実行委員会は、素晴らしいと思います。本当に多くの人たちと再会できて、まるで大きな同窓会のようでした。
普段はあまり聞けない、中部ジャワとバリ以外の地方のガムランが聞けたのも、興味深かったです。
でも、詳しくは書きませんが、いろんなポリティックや、見栄と意地のぶつかり合いが感じられたのも面白かったですね。
また、ガムランは伝統芸能とはいえ、時代時代に合わせて変わっていくもの。変わっていこうとする力と、それを防ごうとする力のせめぎ合いも、面白い。まあ、それはジャワ舞踊の分野でもいつも感じていることですけど、私自身は、伝統芸能は生き物で、時代とともに変わっていかなければ、生き残っていけないと思うので、変わっていくのが、自然だと思っています。それは、その伝統の中に生きる人たちが決めれば良いことで、また、自然にいろいろ淘汰されて、変わっていくと思うのです。それだけの力のある芸能ですから。
そして、これまでもずっとそうやって変わってきたはず。まあ、スピードは現代の方が早いのかもしれませんけど。
でも、その中の一時代だけを切り取って、それが伝統的に最も正しいとするのは、なんだかなぁと思ってしまう。そう思うのは自由だけど、それをかさにきて、自分の正統性を主張し、他人を貶めるのは、やめてほしいなぁと思う。それぞれいろんな考えがあって良いはずだし、他の人の考えは、計り知れないところがあるから。そして、それを主張している人が全てを知っているはずもなく、やはり、エゴが見え隠れしてしまう。それが悪いことだとは思わないけど、人を傷つけたり、他人にその人の悪口をふれまわったり、仲間外れにするのはいただけない。最も、文化的にジャワの人でそんな人は少ないけど、残念ながら、私の周りではチラホラ。特に王宮関連に多いような。
王宮の芸能だって、これまでの歴史を見ると、昔から、そしてつい最近だって、ドラスティックに変わってきていると思うのですけどね。それを、自分が学んだのが一番正しいと主張することの方がおかしいような。
私はみんな仲良くやればいいのにと、いつも思ってみています。他人を傷つけるほど、それは重要なことなのかと。本当に、お互いの考えを尊重しつつ、仲良くやってほしいです。伝統を守るのも大事だけれども、変わっていくのも、同じぐらい大事じゃないのかなぁと思います。いろんな意味でジャワ芸能は寛容な芸能ですし。そして、そこに豊かさが生まれる可能性が高いのではないかと思います。
どちらにしろ、全ては意味があって起こっているのだろうし、心配しなくても、成るように成るでしょうけど、なんだかなぁ、なんとかならないものかと思ってしまいます。もっとも、私自身も自分の感性に合う変化もあれば、そうでないものもあるので、自分の意見は言いますけど、自分が絶対に正しいなんて思ってないですし。結局はその伝統を継いでいく人たちの中の総意でうまく変わっていくのだろうなと思います。
私は何を言われようと楽しみながら、真摯に続けていくだけ。外国人ですしね。
それにしても、いろんな人が言う意見を聞くのは面白い。その人の文化や人となりが凝縮されているなぁと思う。
人間模様が面白い。私が言うのもおこがましいかもしれないけど、ある意味、愛おしい。最も全ては作り上げられた幻想だけど😊
話はあちこちに飛びましたけど、そんないろんなことを感じた、ガムラン・フェスティバルでした。
読んでくださってありがとうございました。
あなたにとって素敵な一日となりますように。